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「 私の過ごしていた世界でも、対人関係は凄く鬱陶しくて、大変なものです。結局傷付くなら始めから関わらないでおこう、って思う気持ちになります 」
「 ……でも、友達や仲間とお話したり一緒に過ごすのは凄く楽しいです。ずっと独りでいるよりかは…あくまで私の意見なんですけどね 」
ふと、ネロの瞳が揺れて、そっと閉じられる。
「 ……そうだな、俺が今此処にいるのも、そういう事だったらいいんだろうな 」
「 はい…あ、会ったばかりなのに…こんなにペラペラとすみません… 」
人と関わるのが苦手というネロに、今日顔を合わせたばかりにも関わらず深く話し込んでしまって、しまった…と思う。
「 いや、あんたのお陰でちょっと気持ちが変わった気がするよ…寧ろ俺が謝りに来たのにな 」
首を振ってそういうネロに、確かに…と笑えば
ネロもまた優しく笑い返してくれた。
と思えば、落ち着かない様子でまた目線を左右に動かしている。
「 ……今度、何か一緒に料理でもするか?……あ、嫌だったらいいんだけどさ、」
「 ぜひお願いします! 」
誘ってくれた事が嬉しくて、胸の奥が熱くなる感覚がした。彼の心に私の言葉が少しでも届いたのだろうか。
「 決まりだな… 」
「 楽しみですね! 」
私達は話しながらすっかり朝食を食べ終えていた。
お皿を洗うからこっちに寄こしてくれというネロに、何だか何から何まで任せて申し訳ない気持ちに駆られる。
「 片付けまで任せてしまって… 」
「 あんたも結構人を気遣うんじゃなェか、、毎日俺がやってるから気にしなさんな 」
「 じゃあ、お言葉に甘えて 」
「 ああ、 」
ご馳走様でした と席を立って歩こうとする。
「 なあ……、Aさん 」
「 …あっ、はい!何でしょう? 」
「 ……ありがとな 」
いつの間にか私の方まで来ていたネロは、控えめで繊細な笑みを浮かべながらそう耳元で囁いた。安心感のある彼の声が、細い息遣いまで私の耳に届く。
彼の顔が私のすぐ横にあるせいで、サラサラとした水色の綺麗な髪の毛が触れて、擽ったい。
壊れそうな、ガラスに触れたような。
そのまま通り過ぎるネロを振り返れば
「 食べ終わったら、俺の所に食器を持ってきてくれよ〜 」
満腹そうに笑い合う魔法使い達に声を掛ける彼が見えた。
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rufu(プロフ) - No.3さん» お返事遅れてしまい申し訳御座いません…!ありがとうございます!モチベになります、嬉しいです…! (2023年1月29日 0時) (レス) id: e99adfba6e (このIDを非表示/違反報告)
No.3(プロフ) - カインが天才的にイケメンしてる…書き方上手ですね!! (2022年7月7日 7時) (レス) @page26 id: 5d07dd0044 (このIDを非表示/違反報告)
rufu(プロフ) - *ゆきうさぎ*さん» お返事遅れてしまい申し訳御座いません…!ありがとうございます!とても嬉しいです…!更新も出来ればと思っています。ありがとうございます…! (2021年6月14日 22時) (レス) id: ec4581993d (このIDを非表示/違反報告)
*ゆきうさぎ*(プロフ) - すっごく好きです…!!最近まほやくにハマったのですが、まほやくの夢小説ってなかなかなくて…。更新いつまでも待ってます…! (2020年7月14日 14時) (レス) id: f13975ef27 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:rufu | 作成日時:2020年2月16日 2時