星屑の水槽 (ページ3)

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ジョンハンさんと仲良くなって、数日が経ってまだ世間には溶け込めている感覚がない私でも彼のおかげで毎日が少し楽しくなっていた。

『A、久しぶり』

『最近どこか空いてる？久々に飲みに行きたい』

最近の私は周りの誰かに救われて助けられて生きている気がする。ジョンハンさんによって救われた人生はまた友人に助けられるらしい。

中学からの友人から連絡が来たのはジョンハンさんと仲良くなってちょうど二週間の頃だった。

『久しぶりだね、スンチョル』

『私も行きたい。今週の金曜だったら空いてるよ。』

たぶん、スンチョルと会うのは半年ぶりくらいだと思う。半年が久しぶりと思うかどうかは人によると思うけど、交友関係が広くはない私にとって少ない友人と半年も会ってないというのは重大なことだった。

医師である私と大企業に勤めるスンチョルはなかなか会えるタイミングは無くて連絡もなかなかとれないままにしていたら半年になってしまった。

「A、久しぶり。最近仕事どうなの？」

「この前さ、Aの病院がニュースに出てたじゃん。近くの港であった事故にドクターヘリ出てたよね？ Aって救命だったでしょ、あれ行ったの？」

生憎、その話題は私にとってタブーなの。

「あー、スンチョルごめんね。あのとき私休みで。両親がその事故でさ」

私よりも悲しそうな顔をして「そんなこと言わせてごめん」と私の口を塞いでまたもう一度ごめん、と言った。命を絶とうとしたことは言えなかった。

なんとなく気まずくなって、急いで言葉を紡いだ。

「なんかごめん、あのときは私もしんどかったけれどもう大丈夫だよ。仲良くなった先生がいるの。」

ほら、と言って見せたジョンハンさんのカトクの画面。

スンチョルは一瞬驚いた顔をした。私がそんなに友達がいなさそうに見えるのかな。でもスンチョルは、なら良かったと言って俺にも相談してよ、と困ったように笑った。

「その、ユンジョンハン？っていう人、大切にしてやれよ。」

「？？？言われなくてもするよ。命の恩人なんだもん。」

どこか寂しそうに泣きそうな顔で別れ際まで私を気遣う。

「俺、Aには生きてほしいんだよ。」

ジョンハンさんからも聞いたような気がする言葉。お守りの言葉がまたひとつ増えて、彼の頬を一滴の涙が伝った。