48 緑・橙 ページ48
建物の外に出ると、タイミングよく村上さんが車をつけてくれる。
「急げ。狙われてるかもしれん。要人は無事や。」
「マルがけーへんかったら危なかったな。」
「でも、まだ手はあったでしょ？」
「まぁ。でも松岡さんとおんなじようなもんやから、ほんまに来てくれて助かった。」
「捕まえたかってんけど…」
「危なかったのにねばってくれてたな。かなり傷を負わすことができたし、十分や。」
「…」
「マル？」
「ちょっと…寝るわ…」
そのまま俺にもたれてストンと意識を失うマル。無理してくれたんや。
「すごかったで。車から降りて、まだ会ったことないこいつら２人のこと見つけてくれて、そのまま屋敷に駆け上がっていったからな。」
「作戦の地図、覚えてたんや。」
「ここに来るまでずっと見てたから。」
「仲間になってくれたってこと？」
「すばるが契約書にサイン貰ったって。」
「強力やな。」
「でも、マルは狙われてるから…」
「お前もな。とりあえず帰ろう。ゆっくり休まんとあかん。みんなよぉ頑張ったわ。」
◇
橙サイド
「マル？歩けるか？」
深く眠っていたのか自分の所在を見失う。意識がはっきりしないまま、支えられて歩く。
「お疲れ。今日から丸山さんの部屋はこっちや。」
渋谷さんのそんな声を聞きながら、しばらくするとベッドの上にいた。
「監視カメラも盗聴器もないで。マジやって！だから何でもええで。」
「何でもええって何やねん！」
騒がしい声を何となく聞きながら、ようやく意識が鮮明になる。
「マル、大丈夫か？」
「大倉…」
「ん。ありがとうな、来てくれて。」
笑顔の大倉に安心する。必死やった。現場にたどり着くまでが恐ろしく長くて、車を降りた瞬間、体がバネのように動いた。
「よかった…」
「マルのおかげで全員無事や。」
ほんまによかった。それにしても…
「大倉…」
「ん？」
「…腹減った。」
「え？何か食べれそうか？」
「めっちゃ食べたい。」
「よし！ちょっと待っときや！」
なんでこんなに嬉しそうなんやろ。ニコニコと何処かに電話をしながら、俺の食欲が戻ったことを喜んでくれる。
「家族か…」
「え？」
身内の体調を心配したり、回復を喜んだり…
「マル、どうした？」
ボスも…心配はしてくれてたけど…
「マル？やっぱりしんどいんか？」
「大丈夫。飯は？」
「食堂まで行こう。みんながっついてるらしいわ。」
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作者名：orange | 作成日時：2023年12月29日 23時
