47 ページ47
「横山、お前はここで始末するわ。」
やばい。横山くんをなんとかしないと…
「…出来ます？」
「出来るよ。そんなに睨むなよ。仕方ねぇだろ。俺ほどじゃねぇけど、お前強いし。」
「松岡さん、俺を連れていけば…ｸﾞｯ…」
「黙れよ。横山、一発で仕留めてやる。」
「横山さん！」
グッと背中を踏まれて、視界が遮られ、横山くんの様子が分からない。あかん…嫌や…
その時、カチャリと銃が装填される音がした。
「銃、渡して。」
無表情な声。松岡さんが、俺に向けていた銃を横山さんに向けようとして、銃口が動き出した、ちょうどその時やった。
「へぇ…マルか。」
銃声が響く。
「ｸﾞｯ…」
「誰がしゃべってええて言うたん？」
松岡さんが足を押さえてうずくまる。
「大倉、武器。」
言われて松岡さんの銃を奪う。他には…
「さわるな。何されるかわからん。下がれ。」
松岡さんから目を離さず、正面に移動するマル。
「何か言い残す？」
「しゃべっていいのかよ。」
「…ええよ。」
「容赦ねぇな。あんなに可愛がってやったのに、こんな仕打ち酷くね？」
「時間稼ぎ？」
「ボスが狂ってるよ。」
「…」
「世話になっといてそんなもん？全然表情変えねぇじゃん。」
「世話になった覚えはない。」
「じゃあ、俺のもんになれよ。」
「…」
「脈アリ？…ｸﾞｯ…」
また響いた銃声。今度は腕が撃たれた。
「もうええ？」
マルの銃口が頭を狙う。
次の瞬間、大きな爆発音とともに地響きが起こる。マルの銃がずれて、松岡さんの頬をかすった。松岡さんがマルに体当たりをして突き飛ばす。
「松岡！こっちだ！」
横山さんが銃で狙う。そこに俺も加勢した。でも、突然やってきたバイクは弾をことごとく跳ね返す。
防弾の装備に、助けに来た松岡さんの仲間にも弾は当たらない。
「くそっ！」
「ラッキー。逃げるぜ、マル。お前のこと、ちゃんと奪いに来る。」
腕と足に大怪我をした松岡さんをそのバイクがさらっていく。
「マル！」
「ﾊｧ……体力不足や。横山さんは？」
「すまん、大丈夫や。みんなは？瀕死やって聞いたけど…」
「さっき目を覚まして村上さんが車に乗せた。瀕死ではない。気を失ってただけ。大丈夫。要人は？」
「中の警備の奴が何とかするやろ。大倉、マルを支えろ。行くで。」
支えながら細かい建物の破片から自分とマルをかばう。
「ﾊｧ…」
「マル…いけるか？」
「いける…」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 21人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：orange | 作成日時：2023年12月29日 23時
