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橙サイド

「…母さん?」

「あ〜、起きた?どう?」

「母さんはもうええの?」

「元気もりもりやでぇ!」

「…」

「なんやの?」

「大倉は?」

「なんか仕事らしいよ。」

「仕事?ここにいてないってこと?」

「そうちゃう?仕事のことはわからへんけど。」

何か起きた…?あのボスが動き出さないわけが無い。でも、ターゲットである大倉が何かの作戦に入るなんてことは…

「すんません。丸山さん、ちょっと話できる?」

部屋に入ってきたのは、ここに来て初めて見る小柄な人。母親に渋谷すばるという人で、ここの責任者だと知らされる。

「お母さん、すっかり元気ですね。」

「渋谷さんのおかげです。ほんまに何から何までありがとうございます。」

「そんなんええですよ。それより、ちょっと息子さんと話させてもらっていいですか?」

こちらに目を向けた渋谷さん。意志の詰まった大きな瞳から、相当な修羅場を越えてきたんだろうと思えた。

「すまんけど、会議室まで来れる?」

「あ、はい…あの…」

「話は会議室で。もう歩けるやろ?」

「はい。」

会議室に入り、渋谷さんと向かい合って座る。

「助けていただいて、ありがとうございました。」

「そう言ってもらえるってことは、俺たちのしたこと、丸山さんにとって間違いじゃなかったってことやな?」

「それは…はい。でも…」

「迷惑やなんて思う必要はない。どのみちあちらさんとは何かしら決着をつけんとあかんから。」

「でもボスは…恐ろしい人だと思います。」

「そりゃ、スパイ組織のボスなんてそんなもんやろ。人の命を奪ってなんぼの商売や。身内にも誰にも仕事のことは話されへん。気持ちを保つのも大変やで。」

「…」

「とりあえず、大倉からこの国に残るという意志があることは聞いたんやけど、間違いない?」

「はい。」

「じゃあ、今後の話やけど、丸山さんはすぐにでも母親と元の土地で生活するのが希望?」

「…」

「…それとも、うちの組織に入ってもらえるんやろか。」

「え…?」

「どこにいてもあちらさんからの脅威が付きまとうと思う。でも、丸山さんの保護については任務として最後まで責任を持つ。」

「それは…」

「もし自分で行動したいというのであれば、それにも協力する。一時的でも、組織に入ってもらったらやりやすい。」

これからの自分…。一体俺に何が出来る?組織のために人の命を簡単に奪ってきた俺に…

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作者名:orange | 作成日時:2023年12月29日 23時

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