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横山くんの視線に俺も頷く。
「うん。この遊んでる感じはそうやと思う。」
「遊んでる?」
「わざと情報を流して力を見せつけてる所なんか松岡さんのやり方そのまんま。敵側を撹乱して、ターゲットをおびき出す。」
「なるほど。」
「そしてこの被害の大きさ。あの2人レベルじゃないと無理やな。」
「大倉とマルを出すまで暴れる気や。政府にはマルのことは伝えてないからあれやけど、大倉を守りきれと言われてる。」
「…任務には同行出来ないってこと?」
「そうなるな。」
「でも俺、結構他のスパイの観察してましたよ。松岡さんの癖も何となくわかる。」
「あかん。狙われてるやつをわざわざ敵の所に行かせるわけないやろ。」
「資料、もう一度全部見せてください。俺の考える作戦が良ければ、俺を行かせてください。」
「…」
「次の動きを読んで、被害も最小にします。」
「…はぁ。頑固なやっちゃなぁ。」
「俺のためにみんなだけを危険にさらすことは出来ひん。」
「ヨコぉ。」
「俺は連れて行ってもいいと思うけど。」
「なんでや?」
「向こうは大倉とマルには致命傷は与えられへん。2人が出てくるまでこれだけの被害を出され続けるなら、任務に2人を絡ませたほうが他への被害が減るように思う。」
「…」
横山くんの言葉に黙り込むすばるくん。沈黙が続く中、難しい表情からこぼれたのは大きなため息。
「はぁ…。そんなことしたら、俺、首やん。」
「そうなったら養ったるわ。」
「えー、ヨコに?…ヒナがいい。」
「はあ!?あんなん、口うるさいだけやぞ!」
「あほか!あんな気のつく嫁が他におるか!」
「当たり前じゃ!」
「あ、あの、二人とも…」
急にテンションの上がる2人。思わず声をかけると、我に返ったように気まずそうな沈黙。でもすぐに横山くんが話を続けた。
「大倉もマルも、守ってもらうより自分で立ち向かって活路を開かないと納得できひんやろ。二人のために一緒に立ち向かうのがこのチームには合ってるんちゃうかって思う。まぁ、マルはまだどうするかわからんけどな。」
横山くんの言葉に胸を打たれる。仲間の想いを考えて、命をかけて行動できるって、なんて熱い人なんやろう。
横山くんの言葉にすばるくんが決心したように頷いた。
「わかった。チームリーダーのヨコがそこまで言うなら、任せるわ。」
「ん。大倉、作戦考えるぞ。わかってると思うけど、かなりの強敵やで。」
「はい!」
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作者名:orange | 作成日時:2023年12月29日 23時