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緑サイド
泣きやんだマルは照れくさそうにそっと体を離した。うつむいて、どうしたらいいのかわからない様子に愛しさが込み上げる。
「マル?」
「…」
「ちょっとすっきりした?」
「…」
「え?」
「…ん。」
「そうか。なら、よかった。」
「…服…」
「服?」
「お前の服…」
「あ〜、ええよ。風呂入って着替えるし。それより、ちょっと横になり。疲れてるわ。」
俺の言葉に素直に横になるマル。そのまま目を閉じて、一瞬で眠ってしまった。
少し楽になってくれたんかな。恐ろしい思いを拭ってやりたくて、自然と頭を撫でていた。
「あ。」
頭を撫でながら思う。この部屋…監視カメラいっぱいやった。
「…」
ま、そんな四六時中見てるわけちゃうやろ。気にせんとこ。
そっと部屋を出る。とりあえず着替えをして、またここに…
「大倉。」
「ひっ…」
「ははっ!お前変わってないなぁ!」
おかしそうに笑う横山くん。ムッとして無愛想に答える。
「なに?」
「なにって、つれないなぁ。両想いの人はそんなに冷たくなるもん?」
「…両想いではない。」
「え?進展した?」
「え?見てたんちゃうの?」
「何も見てへん。カマかけただけ。そーかー!おめでとう!」
「いや、だからちゃうって。マルがここに残るって言っただけ。」
「え?両想いちゃうのに?」
「両想いとか…それは追々…」
「よぉ!色男!」
「はぁ…」
言い淀んでいると、ウキウキしたすばるくんの声。
「とりあえず任務は完了やな!」
「…見てたんや。」
「それは俺の任務なんでね。秘密は守ります。両想いはまだまだやろうけどなぁ。」
「…」
「大倉、落ち込むな。恋愛に焦りは禁物やで。」
「恋愛ベタのヨコに言われてもな。」
「すばる、俺を敵に回して大丈夫か?」
「あ!緊急招集やった!会議室に集合!!」
◇
チームが集合して伝えられる新たな任務は政府の要人の保護。
「3人の要人が同時に狙われていると政府から連絡があった。」
「3人同時?」
「そう。2週間前にも同じ手口の犯行があって、結局その内の1人が狙われたんやけど無事救出されてる。」
誰が狙われるかはわからんということか…
「担当した警察に大きな被害が出たから、こっちにも話が回ってきた。共同作戦になる。」
「前の手口は?」
すばるくんが届いた報告書を渡してくれる。これは…
「動き出したな。松岡さんやろ。」
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作者名:orange | 作成日時:2023年12月29日 23時