38 ページ38
母親を部屋に案内し、落ち着くまで相談相手になる女性の諜報員を紹介して会議室に向かう。
部屋に入ると、みんなが集合している真ん中で、すばるくんが腕組みをしたまま、難しい顔をしていた。
「調査自体はおかしな話ではないけど…気になるな。」
「そやな。」
「なかなか起きひんって、麻酔で眠らされて、なんかされてたんちゃうやろうか…」
ブツブツと繰り返される独り言。
「あ〜!やること急に多いわぁ!」
それが急に大きな声になって、思わずみんなで驚く。
「丸山さんのことやろ?大倉が結局何なのかやろ?これからおそらく攻撃的になる向こうさんの動きやろ?それ以外にも大量の任務に政府の機嫌取り…それから…」
頭の中を整理しているのか、しばらくして、顔を上げたすばるくんが、みんなを見渡してから今後のことを話しだした。
「おそらくあちらさんはもう動いてる。大倉も丸山さんも簡単には捕まらんやろうけど、一層用心せなあかん。」
「はい。」
「丸山さんの過去のことは、さっきの母親の話から、また探ってみる。あとは、丸山さんがどうしたいか。」
すばるくんが自然とこちらを見た。
「マカリオスに帰りたいとは言うてた。ここにいる意味がない。なんで自分は攫われたのかって。」
「え?」
なに言うてんねんって顔。俺、なんか変なこと言うた…?
「お前が連れ去りたかったからやん。」
「…」
いや、それはそうやねんけど…
「…そんなこと言われへんやんか。」
「なんでや。」
「なんでって。…なんでかな…いや、そりゃ…」
「すばる。みんなをお前と同じ基準で考えるな。」
「なんで?」
「そんな病み上がってもない人に、急に告白なんか出来ひん。」
「ふーん。でもさ、丸山さんは敵になったら怖いやろ?」
「それは。」
「なんか怪物みたいな二人もおるし。」
「生きてるよな、やっぱり。」
「そう思うで。ヨコでも無理?」
「そやなぁ…手強そうやな。運とタイミングちゃうかな。」
「うちのエースが手強いていう奴が2人も。大倉!ヨコが言うてんねんで?敵の懐に入ってこんだけしてくれる凄腕のヨコが!」
横山くんの顔が赤くなり、満更でもない表情が浮かぶ。
「ヨコ、照れとる。」
「は!?お前…」
「おい、痴話喧嘩はやめろよ。そこにまた丸山さんが戻ってみーや。エライことやろ?」
「はい。」
「これは任務や。丸山さんを引き止めろ!あわよくば仲間にしろ!」
命令口調やけど。この人、絶対楽しんでる…。
21人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:orange | 作成日時:2023年12月29日 23時