33 ページ33
悔しそうにしてるけど、瞳をキラキラと輝かせるすばるくん。
「俺、昔から情報収集が趣味やったやろ?その時にこの組織に行きついてな。あまりにも進展せーへんからそのうち忘れてたけど、名簿まで入手しててん!まだ若い俺が!すごいやろ!」
「あ〜…そやな。」
横山くんと村上くんが顔を見合わせて笑ってる。
「そこに丸山さんの名前があってんな?」
「そう!すごい記憶力やろ!!」
「すばるくん、すごい!天才や!」
亮ちゃんが嬉しそうに手を叩く。
「亮はほんまにええ奴や。飯行くか。」
「うん!行く!!」
「こらこら、話終わってへん。マルは捨て駒にされたって言うてたわ。恨んでるんちゃうか、この国のこと。」
「そうかもしれんな。聞いてみなわからんけど。でも丸山さんが王家の血筋なのは確かちゃう?」
「なんで?」
「あの肖像画。みんなほんまに知らんのか?」
「え?」
「…勉強してないん?」
憐れむような視線をみんなに投げかけるすばるくん。
「お前に言われたないわ!どうせ、美人やったり裸の肖像画ばっかりジロジロ見とったんやろ!」
「はあ!?そんなわけあるかぁ!」
「図星やな。」
「ふんっ!まぁ。ええわ。民衆に殺された最後の王妃。でも晩年の王家の中では最も慕われていた。」
「えっ!?」
「その美しさと悲劇が相まって、亡くなってからも結構肖像画が書かれたらしい。それを収集したのがおそらくあちらさんのボス。」
「収集…」
「あ〜、王家の研究をしていたらしい。そこそこ名の知れた研究家やったみたいやで。」
「ボスがそんなことを?」
「若い時にな。そして王妃と出会い、一目惚れをした。」
「今で言う2次元的なことか…」
「そんな奴のところに現れてしまったんやな、丸山さんは。」
「そうか…それであんなに執着をしてるんか。」
「とりあえず今からその組織のことは洗い直す。母親が到着したら、何か知らんか聞いてみよう。」
「母親よりも丸山さんやったんや…」
「俺、何度か会ったけど、マルはきっと父親似やと思う。」
母親のために苦しい人生を続けてきたマル。感情のない表情の奥にある澄み切った瞳。王家の血筋か…
「丸山さんの看病は大倉がするやろ?しばらく2人は外に出ぇへん方がええし。寝たきりの世話は大変やろうけど。」
「やります。」
「じゃあ頼むわ。他のメンバーは次の動きまでしっかり体を休めといてくれ。」
21人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:orange | 作成日時:2023年12月29日 23時