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31 緑・橙 ページ31

横山くんとヘリから発射される無数の弾。でも、ヘリが2人からの銃弾を受けたのか大きく傾いた。

「すばるは!?」

「大丈夫や、脱出してる。」

2人が現れる場所を予測し、わざと2人の上にヘリを落とす計画。すばるくんの読みは完璧やった。

「もうすぐや。」

国境を跨いでの銃撃戦は出来ない。

「おそらく一旦立て直すやろ。亮は?」

「国に残ってる組織の奴らを引き上げさせてる。どないかして国外へは逃げてるはずや。」

「すばるくんから連絡!無事国境を越えたって。」

「オッケー。上場やな。」

「完璧やろ!」

にぎやかに話しながらも、安全と思えるところまでスピードを緩めずに進む。ようやく本拠地に到着した時には、村上くんは動けなくなっていた。

「おし!ヒナ〜おいで。」

「信ちゃん、そのまま体重預けやぁ。」

「大倉はマル!」

「…はい。」

タンカに横になっているマル。やつれた様子に胸が痛くなる。

「なんやこれ…」

思わずギュッと胸をつかんで、それが外側の痛みじゃないと知る。

「マル、動かすで?」

ピクリとも動かない。怖くなって息を確認すると、小さな呼吸が繰り返されていた。

「目覚めたらなんて言うやろな…」



橙サイド

心地の良い暖かさがある。そっと目を開けると、穏やかな部屋の灯り。

「マル?」

ボス…じゃない…。覗き込んだのは随分前にいなくなった大倉…

「わかるか?話できる?」

回復していたはずなのに、体が重くて動けない。

「また体力なくなってもうたな。ごめんな。」

申し訳無さそうにする大倉。そうや、あの屋敷から俺は…

「ここはセレーネ。横山くんもいてる。」

敵国の名前に驚く。もともと俺がおった国ではあるけど。

「お母さんも無事みたい。あっちは負担が少ないようにゆっくり向かってるから、明日か明後日には会えると思う。これ、ちょっと飲み?」

口にあてられたガラスの感触。ゆっくりと流し込まれた液体があまりにも甘くて、それが水だと気づいたのは一瞬の後。

「マル、まずは体力の回復な。そっから色々考えよ?」

回らない頭で大倉の言葉の意味をゆっくりと理解する。

「わかったら軽く手、握れる?」

そっと重なる大倉の手。頑張ってそれを握り返した。

「握力全然ないやんか。トイレは?大丈夫?」

また手を握る。そうすると大倉の顔が優しく笑顔を作った。こいつの声は…心地が良い…

「眠たいな。ゆっくり寝ぇや、マル。」

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作者名:orange | 作成日時:2023年12月29日 23時

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