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銃声の応酬。俺に弾があたらんのは、このタンカを引きずってる奴が巧みに動いてるからか。

「ほいほい。この被りもん、もう取るで。暑苦しい。姫さん、あとちょっとやでぇ。」

変装か…。ボスを騙せるくらいの変装?

敵にここまでのやり手がいて、よぉ、今までノーマークやったな。横山さんがかなりのやり手やとは思ってたけど、もっとすごい奴が裏におるんか。

そんな事を考えながら、体から力がどんどん抜けていく。

「マル。母親もこっちで確保した。心配いらん。」

大倉の声。何やろ…母親のことよりも、大倉の声に安心する。こいつはボスの…ただの坊っちゃんで…何も知らん…

「眠たかったら寝とき。俺らが守る。」

青二才のくせに…

「ヒナ!」

「あいよ!車に乗り込め!」

バンッと扉の閉まる音。もう体力の限界やった。



緑サイド

「このまま国境を越えるで。追手がすぐにつくやろ。」

「言ってた通り、ボスにマルがさらわれたことが伝わったら秒で動く。そうなったら…」

「松岡さんと長瀬さんか…手強いな。」

「うん。」

そしてすぐにヘリのプロペラがけたたましく音を立てる。

「来た。」

「ヤス、狙えるか?」

「ん、やってみる。」

自分で開発した特殊なライフルを小さな体で支えるヤス。防弾の車にヘリからの無数の弾が跳ね返る。

狙いを定めたヤスが発砲した。車のサイドミラーが吹っ飛んだと思ったら、その直後ヘリが大きく傾いて、急降下する。

「すっげー!ヤスってすげーな。」

嬉しそうにヤスを褒める横山くん。

「ヨコ!手伝え!前や!」

レーサー並の運転を続ける村上くんが、鋭く指示を出す。

「ヒナ!できるだけ伏せろ!」

フロントガラスは防弾とはいえ、何度も撃ち込まれたら終わり。

今度はサイドから身を乗り出した横山さんが狙いを定める。散弾銃の音をもろともせず、正確な一発がタイヤに命中。

「よし、ヒナ、いけるか?」

「たぶん。」

ボスはきっと血相を変えているだろう。屋敷の奴らは大丈夫やろうか…もしかしたら全員…

「大倉、お出ましちゃうか?」

小高い崖の上。わざとらしく姿を見せるのは、それだけで威圧になるから。実際、俺は背筋が強張るのを我慢できなかった。

「同じところに撃ち込まれたら、我慢できて2、3発やと思う。」

おそらく少しの窓の隙間でもあの人たちは狙える。

2人が身構えようとしたその時、またヘリの音が近づいてきた。

「すばるや。援護しろ!」

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作者名:orange | 作成日時:2023年12月29日 23時

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