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「腐った親父やな。」
「え？」
「丸山さんがええようにされてる写真やろ。」
「…はい。」
「はあ！？」
「なんでそんなもんが大倉に送られてきたんやろ。大倉、丸山さんとはどんな関係？」
「どんなって…。諜報員をしていて、同じ組織におった顔見知りで…」
「それだけ？」
「…はい。」
「そんな奴に、なんでわざわざそんな写真送りつけるんや。」
じっとすばるくんに見つめられ動揺する。動揺…？なんで…？
「目的は大倉を取り戻すことのはずやろ？大倉を呼び出すのにこの方法が有効やと判断された。ただ同じ組織におった奴のそんな写真が。」
何も言葉が出ない。だってマルは、俺の手柄を横取りする嫌な奴で…ボスの相手で…
「大倉。」
すばるくんの真っ直ぐな呼びかけに我に返る。
「とりあえず、その写真の解析を頼むわ。俺がやってもええけど…」
その言葉を咄嗟に遮る。
「いえ、俺にさせてください。」
「わかった。３０分後、報告に来い。」
急いで部屋に戻る。手の震えが止まらない。何でかわからん。いや、怒りや。マルにこんな事をさせて…
父親と思って、育ててくれた恩のために生きてきたのに…
「マル…」
マルの表情に目がどうしてもいってしまう。一体どんな気持ちでこんなこと…
俺に縋ってくれたあの時のマル。どれだけ女を抱いても、脳裏にこびりついて離れない、あのマルの姿…
写真の中、手前のテーブルの上に手紙が置かれている。拡大鏡を通すとそこに俺への言葉があった。
『愛しい息子。私に縋る私の想い人の美しさを見るがいい。愛しい息子以上に愛しい人。お前はそれを傷つけた。許さない。罰はこの愛しい人に。』
「何を…」
次の瞬間には体が動いていた。荷物をつかむと、どこに向かうのかも考えず駆け出した。
いつも出入りに使うドアが近づく。でも外に出ることは出来なかった。ドアと俺の間にすっと入る人の影。
「どいて！！」
「あかん。」
立ちはだかる横山くん。
「なんでや！マルが！」
揉み合いになっても揺るがない横山くんに苛つく。
「大倉、すまん。」
今度は後ろから村上くんに羽交い締めにされる。
「ちょ、何やねん！」
「落ち着け。」
横山さんがゆっくりと俺の肩に手を置く。
「仲間やろ。お前１人では行動させへん。」
「でも、これは俺の…」
「俺の？」
言葉が続かない俺をじっと見つめる横山くん。その口がゆっくりと開き、言葉をつづる。
「もしかしてお前、マルに惚れた？」
「…」
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作者名：orange | 作成日時：2023年12月29日 23時
