22 紫・緑 ページ22
紫サイド
「丸山隆平か。」
「すばる、なんか知ってんのか？」
「…」
「おーい！」
「まぁ、よくある名前やな。」
「いや、誤魔化すな。」
「本名か？」
「俺の調べによるとそうや。」
「大倉も本名やし、そうやろうな。城島という男は何を考えてるんや？」
「さあ。普通ではないやろ。」
「丸山さん、心配やな。」
「ヨコも言うとったわ。」
「城島の相手をさせられてるんやろ？」
「そやな。」
「…よっぽどええんかな。」
「は？」
「そんなに執着できるなんて、すごない？」
「…変態。」
「フンッ、冗談や！」
「…」
「何やねん！俺は変態ちゃうぞ！まぁ…人には好みがあるし、そりゃあ俺の好みに合うようならもちろんやなぁ…」
「すばるくん、報告が。」
すばるが焦って言い訳をしていると、亮が部屋に入ってきた。
「お〜、亮。どうした？」
「うちの諜報員が向こうに捕まって、この小包を渡されたらしい。」
亮の手には文庫本が数冊入るくらいの箱。諜報員は小包を渡され、それを自分のボスに渡すように言われ、そのまま解放されたらしい。
「爆発物の反応は出てない。開けますか？」
「一応強化ガラスの中でやろう。」
慎重に包み紙をはがし、箱を開ける。中には異様なほど真っ黒な封筒が入っていた。
「大倉宛や。爆発の心配はないわ。でも金属の反応がある。ヒナ、大倉呼んで。」
◇
緑サイド
基地の向かいにあるマーケットで買い物をしていると、村上くんから連絡。急いで戻り会議室に向かった。
「大倉に手紙や。」
すばるくんが机に出したのは漆黒の封筒。見覚えのあるその深い黒色に思わず声が出た。
「向こうのボスからやな？」
「はい。これは、スパイの裏切り者に渡される最後通告の時に使われる封筒です。」
「ここで開けてもらってもええか？」
「…わかりました。」
「手袋とハサミ。金属の反応があったから、気をつけて開けろ。」
渡された手袋をはめ、ハサミで封筒を開ける。カチッという金属音。刃物が仕掛けられていた。
「趣味悪いなぁ。」
そのまま封筒を開ける。中には白い紙に包まれた１枚のカード……いや……写真…？
「ﾊｯ！」
思わずすばるくんと村上くんに見えないように隠す。
「どうした？」
「…」
自分でも自分があまりにも衝撃を受けたことに驚いて反応が遅れる。
「大倉？」
「…あ…と…マル…が…」
「丸山さん…？」
村上くんが写真を覗き込もうとするのを瞬間的によけた。
「なんや？」
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作者名：orange | 作成日時：2023年12月29日 23時
