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橙サイド
「どうやった？」
「な…に…？」
「何やあれへん。お前、忠義と寝たやろ？」
「は？ｳｯ…」
「とぼけるな。」
ボスの血走った目。手足をしばられ、何度も殴られて、意識が遠のく。
「忠義は生きたまま捕らえなあかん。抵抗されても面倒やし、昔軍で使ってた麻酔銃を使わせた。まさかお前に当たるとは…」
俺を撃った狙撃手はもうこの世にいない。ボス自ら処罰した。
「しかも…忠義とお前が…」
悔しそうに顔を歪めるボス。手が震えている…？
「運命にはあらがわれへんのか！いや。お前は戻ってきた。ちゃんと自分の意思で。それならええ。でも忠義のしたことは塗り替える。」
近くの机にある箱をそっと開けるボス。そこから出てきたのは…
「俺が上塗りする。」
肩に刺さる針。
「お前は多少免疫があると思ったけど、記憶がなくなるくらい溺れるなんてな。」
「ｳｯ…ﾊｧ…ﾊｧ…」
しばらくすると上手く呼吸ができなくなってくる。
苦しい…体が…熱い…
「マル！こっち見ろ！」
無理やり顔をあげさせられ、そのまま乱暴なキス。
あかん…嫌や…気持ちいい…
「そうや。その目！マル、どうしてほしい？」
縄がほどかれる。自然と腕がボスにしがみつく。
あぁ…このまま…どうでもいい…もうどうでも…
「さわって…」
満面の笑みが目の裏に焼き付いた。そのまま意識を失ったのか、体中の痛みで目が覚める。
「マル。」
ボスの声。俺の肌を撫で回し、何度も肌に吸い付く。
「お前、忠義はそんなに良かったんか。」
「…」
「俺に抱かれながら、何回あいつの名前を呼んだと思う？」
「…覚えてない。」
「ﾌﾝ。まぁええわ。マルが違う奴を求めてんのを俺に向かせるのもおもろい。」
そっと髪をかきあげられる。
「さて、どうやって忠義を取り戻すかな…」
あいつは無事に逃げれたんか…
「お前がこんなにあいつの名前を呼ぶのなら、あいつも何かしら反応するかもな。俺のもんに手ぇ出した分は懲らしめてやらんと…」
独り言を呟きながら俺にふれる。
「マル、お前、化学兵器のこと知ってるか？」
「化学兵器？」
聞き慣れない言葉に驚く。
「…知らんならええ。少し眠れ。俺も一緒に休む。」
人肌を感じて思い出す。
あぁ…大倉の腕の中はもっと……
自然と浮かんだ言葉に驚く。何を言うてんねん。何にも覚えてないくせに。
「マル…」
耳もとで聞こえたのは誰の声なのか…。何となく優しいキスを思い出し、そのまま意識が途切れた。
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作者名：orange | 作成日時：2023年12月29日 23時
