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「はいはい。大倉さん、でもほんまやで。あんたのしたいようにし。政府には何とでも言える。」
そんな簡単な話なわけが無い。だって、俺が相手国にいるから手を出せないなんて言うてたんやから。
国と国の関係性を揺るがす問題を何でもないかのように言ってくれるなんて…
「あの、検査してほしいです。それから、俺をここに雇ってください。」
天涯孤独やと思った。これから国の道具になっていいように使われるんやって。
でも、こんなふうに言ってくれるこの人たちと、もっと一緒にいたい。俺に出来ることを、この人たちとしたい。
俺の言葉に顔を見合わせた３人。すぐに意思疎通ができたのか、３人から笑顔がこぼれる。
「それはうれしいわ。仲間になってくれるん？」
「え…あ、はい。俺、ここにいたいです。」
「よっしゃ。ほんなら今日からうちの子や。」
「い、いいんですか？こんな簡単に…」
「俺、最高責任者やし。裏の仕事やし大変なこともあるけど、身を隠すにはちょうどええやろ。これからよろしくな？」
「はい！よろしくお願いします。」
それからすぐに行われた検査。体の隅々まで調べられ、気持ち悪いものも我慢して受けたけど、結局何も出てこなかった。
「博士が息子を守りたかっただけか。」
「わからんなぁ。とりあえず政府には検査の結果と諜報員として雇うことを伝えとく。大倉が手中にあれば問題ないやろ。」
生活に慣れるまで慌ただしく過ぎる日々。いくつか仕事をこなし、余裕が出てきた頃、思い出すのはマルのこと。
「はぁ…」
マルは無事やろうか。きっとまたボスと…。想像するだけでイライラとし、ため息がこぼれる。
「大倉、仕事。」
「はい。」
会議室で任務の確認。今回はマカリオスとは違う国からのスパイ情報。アジトをつかんだので、そこを潰しに行く。
「大倉、これどうやろ？色仕掛けの時に使えると思うんやけど…」
「色仕掛けとか言うな。聞き込みや。」
相変わらずのんびりとしてるけど、何でも器用で開発が得意なヤス。
「使い方は？」
横山くんを中心として、村上くん、ヤス、亮ちゃんと俺の５人はチームとなって任務をこなす。
マカリオスで孤独だった仕事とは真逆。内容は血なまぐさいけど、気持ちは軽く、みんなを大切にしたい気持ちが強くなっていた。
でも…。マルはきっと孤独の中にいる。俺を求めてすがるマルの姿。
このままでいいんか…？俺は、あいつに何がしてやれる…？
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作者名：orange | 作成日時：2023年12月29日 23時
