13 緑・橙 ページ13
マカリオスの裏側を仕切るボス。表舞台には一切出ず、国のすべての動きを把握していた。
「お前を手に入れることで、さらにその地位を確固たるものとした。」
「でも…俺、化学兵器なんて何も…。ボスもそんなものに着手してるような様子はなかったです。」
「そう。わからんねん、まだ。あんたはまだ幼かったから記憶はないやろ？ヒントはお前が生きていること。」
恐ろしい化学兵器が、どのような手段でも見つからないことから、博士が自分の息子を守るために盛大な嘘をついたのかもしれない、とも考えられているらしい。
「なんせ身寄りがなかったみたいやからな。」
本当の父は、俺を守るために自分の命まで使ってくれたということか…？すべてを失ったと思っていたのに、そんなに俺を思ってくれる人が…
国の動向を左右するような秘密に自分自身が関わっているという実感は全くないが、マカリオスに愛着が持てない理由がここにあったのかと思う。
「というわけで、今晩動く。」
「大倉さーん。はい、これユニフォーム。それと普段着。」
渡されたのは真っ黒なスーツと白いシャツ。そして、ヤスさんの趣味全開の派手な普段着。
「これ…」
「任務中はそっちのスーツ着てな。雰囲気って大事やから。」
「はぁ。」
「派手な方は趣味が合えばどうぞ。絶対似合うで！」
「…はい。」
「ヤス、時間ないねん。ヨコも合流場所に動いてる。準備や。」
「は〜い。」
テキパキと動く村上さん、ヤスさん、亮さん。その動きは全く無駄がない。プロとしてかなりの腕前のはず。
家族みたいなこの人たちは、一体どんな関係なんだろう。
不思議に思いながら、遅れないよう、自分の準備を始めた。
◇
橙サイド
「横山さんと？」
「はい。この後2人で食事に行っているようです。」
大倉がいなくなった前の日。事務所の監視カメラに映る２人の姿。
「横山さんは？」
「それが、連絡が取れません。大きな任務に向かい、その後消息を絶ちました。」
「…」
やられたか、それとも…
「接点はこれだけ？」
「諜報員として関わることは比較的多い２人でした。なのでこのときが初めてというわけではありません。」
横山さんなら、大倉と親しくなるなんて簡単にできるやろうな。いや…
「横山さんのこと調べてくれるか？今回の任務の内容も。」
「はい。」
30分もかからず内容はわかるやろ。さて、今何処にいるか…
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作者名：orange | 作成日時：2023年12月29日 23時
