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「大倉さんは素敵な人です。」
ようやく思いついた言葉を声に出す。すると…
「ふふ。うれしい。好きになってしまうでしょ?」
「え…?」
「ふっ…(笑)!」
楽しそうな笑い声に、つられて一緒に笑う。
「そうそう笑ってて。俺の大好きな笑顔。最高です。」
頬を伝う指。あのお皿たちもこんな風に撫でられて作られたんだろうな。
「あ!あの…丸山さん、一つだけめっちゃ心配なことが…」
「何ですか?」
「ヤスのことです…」
「章ちゃん…?」
「はい。ヤスは恐ろしく魅力的な奴です。丸山さんはヤスのこと好きでしょ?」
「それは、そうですけど…。章ちゃんは大切な友人で、恋愛とかでは…」
「でも、俺がアプローチすることで、ヤスのことも違う目で見るようになるかもしれない。」
「それは…」
「忘れないでほしいんです。あなたと恋愛関係になるのは俺だけだって。」
僕を捉えた真っ直ぐな瞳。でも、僕にはまだその強さを受け止めるだけの器がなくて、ふとそらしてしまう。
「あ、ごめんなさい…」
僕は、こんなに真剣に話してくれている人になんと答えたらいいのか、全くわからなかった。自分の気持ちはどこにあるんやろ。必死に探しても見つけられない。
「丸山さん、気にしないで。さ。丸山さんの作品も見て。すごくかわいらしいものばかりですよ。」
そっと差し出される手。少し戸惑って、でもゆっくりと腕を伸ばして、その手を掴んだ。
最近ずっと抱えていた鬱々とした気持ちは嘘みたいになくなっていた。
◇
大倉さんと二人で作品について語りあう楽しい時間。告白されたのは夢だったのかというくらい、いつも通り話に没頭する。帰りの車でも、ずっと止まらない。
「展覧会やろ?聞いてるよ。ん。出来ると思う。ヤスの弟子たちに並んでもきっと遜色ないですよ。」
「わ〜、ほんまに?うれしい!」
「…」
「ん?」
一瞬固まったように動きが止まる大倉さん。
「どうしたん?」
「ふふ。ううん。かわいいわぁって思って。」
「へ?」
「告白したから好きなだけ言えるわ。丸山さん、めっちゃかわいい!」
「ちょ…やめてください…」
「無理。俺、ちゃんと宣言しましたよ。熱烈アピールしていくって。」
「それはそうですけど。照れます。」
「しゃあないですよ。実際そうなんですから。」
やっぱりさっきの告白は夢じゃなかった。どう反応していいか戸惑っていると、それもかわいいって…
こんなん、一体どうやって反応するんやろ。何が正解…?
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orange(プロフ) - いつもありがとうございます。この場所があって、たくさん倉丸ちゃんに浸れるので、日々の活力になっています。また見に来てください! (2023年1月23日 22時) (レス) id: 12b1e8c154 (このIDを非表示/違反報告)
kkoyanagi(プロフ) - お疲れ様でした。いつも物凄く楽しみにしています、この二人のお話が少ないので強火の倉丸担オタクとしては最高に嬉しいです。次回作も楽しみに待ってます。 (2023年1月23日 8時) (レス) @page32 id: 46c9530258 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:orange | 作成日時:2023年1月7日 21時