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「なんとか生きてこれたのは、仕事があったからです。そして村上さんと出会って、そこからは奇跡の出会いの連続でした。」
大倉さんの首に腕をまわす。丁寧に頭を撫でてくれるその優しさに涙が出そう。
「僕も、僕の手であなたを幸せにしたいって、本当に思います。」
「丸山さん…うれしい。」
温かい、包み込むようなハグ。優しい。
「辛いことを一生懸命耐えて、よく俺と出会ってくれました。ありがとう、丸山さん。」
頑なだった心がほどけていく。僕の情けないところも全部受け止めてもらえたような気がして、それがすごくうれしくて…
「よしよし。もう俺がいるから大丈夫。」
「ほんまに?」
「うん。」
「ずっと?」
「うん。」
微塵の戸惑いもなく真っ直ぐに返事をくれる大倉さん。
「どうしよ。」
「ん?」
「こんなこと経験ないから、僕、めっちゃ大倉さんに依存しそう。」
「ええよ。じゃあ、嫌ってくらい甘やかして束縛します。」
にっこりと微笑んだ顔。魅力的過ぎて、見惚れる。
「ん…束縛して。」
見つめて言った言葉に、大倉さんの動きが止まる。
「もぅ…ほんまに束縛して閉じ込めときたい。」
「ふふ。ん。閉じ込めて。」
そっと近づいて唇にふれる。本当に愛おしそうに僕のことを見つめてくれる瞳。
「大倉さん…待っててくれてありがと…」
お礼の言葉は大倉さんに飲み込まれる。必死について行ってたのに、いつの間にかされるがまま。
「大倉さん……名前で呼んで…」
「でも俺、絶対職場でやらかしてまう…」
「呼んでほし…」
「…隆平。」
心臓がドクンと跳ねる。全身の温度が一気に上がったみたい。
「大倉さん…」
「ふふ。それは変やんか。」
「ん…忠義……わ……照れる……」
「うれし。名前で呼ばれただけで興奮する。隆平…」
頬を擦り寄せて、誰よりも近くで聞く大倉さんの声。低くて甘くて身体中の力がなくなる。
「とろとろやん…かわいい…」
二人で楽しみながら求めていく。ささやきあって、クスクス笑って、のめり込んで。激しくて、あまりにも気持ちよくて、やっぱり訳がわからなくなってくる。
「隆平。」
気持ちよさに浸って、その気持ちよさが積み重なって、身体の中におさまらなくて、出口を探す。
「隆平…名前呼んで…」
ああ…そうや。その出口の扉は大倉さんにしか開けられない。
「好きって言うて…」
言われるまま…そう…また積み重なる…
「俺だけって言うて。」
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orange(プロフ) - いつもありがとうございます。この場所があって、たくさん倉丸ちゃんに浸れるので、日々の活力になっています。また見に来てください! (2023年1月23日 22時) (レス) id: 12b1e8c154 (このIDを非表示/違反報告)
kkoyanagi(プロフ) - お疲れ様でした。いつも物凄く楽しみにしています、この二人のお話が少ないので強火の倉丸担オタクとしては最高に嬉しいです。次回作も楽しみに待ってます。 (2023年1月23日 8時) (レス) @page32 id: 46c9530258 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:orange | 作成日時:2023年1月7日 21時