群青の星 (ページ38)

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先生にイメージを伝える。色んな資料を見せてくれて、自分のイメージに近いものを探し、どうしたら実現できるかアドバイスをもらう。

「ガラスはまだ早いかなぁ。２色でいきましょう。」

緊張しながら釉薬につける。緊張して震える手。やばい。

「丸山さん、そんな緊張せんでも大丈夫。楽しんで。」

先生の言葉でスッと力が抜ける。

「そうそう。そのままあげて。」

「はあ。できたぁ。」

板の上において一安心。そのまま作った全てに釉薬をかけていく。

「二人とも、昼できたよ。」

「わーい！」

「丸山さん、子どもみたいやな。」

「ふふ。先生のご飯好き。」

「そう？うちに嫁に来たら毎日作ってあげるよ。」

「わぁ！夢みたいですね。」

「夢じゃなくてほんまに…」

「ヤスー！！飯よそってー！！！」

「うるさっ！ふん！自分で入れろ。」

「はいはい。」

二人の軽快なやり取りは相変わらず楽しい。僕はもう作業が終わったので、昼からは先生について森の散策。大倉さんが何か先生に訴えていたけど、先生は笑顔だし、まぁ大丈夫だろう。

「丸山さん、歩き慣れてるね。」

「はい。子どもの頃はよく山に行ってました。」

「じゃあ、ちょっと険しいけど、こっちに行こうか。」

先生についていくと細い川が穏やかに流れている場所につく。岩がベンチのようになっていて、そこに座ってしばらくせせらぎを楽しんだ。

「先生といると色んな経験ができますね。ものすごく落ち着く。」

「俺も一度はオフィス勤めを考えたんやけどね。自然の中で生きるのが性に合ってた。」

「陶芸家で食べていくまでには大変でしたか？」

「ん〜…大変というか、俺の場合はひたすら作ってたらいつの間にか認めてくれる人が増えてたかな。もちろん挫折もあったけど、作りたい意欲のほうが常に上回ってた。」

「疲れることとかは？」

「精神的には疲れへんなぁ。こうやって自然の中におったら、生きてるだけで幸せやと思える。」

「幸せか…」

自然の中にいればわかるんやろうか…

「丸山さんがよければ、いつでも来てくれてええよ。」

「え？」

「俺が幸せを教えてあげる。」

先生はいつも心の底まで見透かすような瞳をしている。それがじっと僕を捉えた。

「先生…？」

いつの間にか目の前に先生がいる。両手を広げたと思ったら、次の瞬間には先生の心臓の音が柔らかな服越しに肌に伝わってきた。