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互いの仕事のこと話しながら、女性問題のことが気になった。そりゃあこんな人、誰も放っておかへんな。穏やかで、優しくて…
「丸山さん?」
「あ、えとー、明日教室に行きますか?」
「それなんですけど!」
「え?」
「俺、ヤスが個展に集中するときの工房を明日借りてて、もしよかったら一緒に行きませんか?」
「工房?先生の?」
「はい。」
「行きたい!先生も来られるんですか?」
「…ヤスが来たほうがいいんですか?」
「え、いや、工房を借りるから一緒なのかと…」
「ヤスは海外出張が入って、その準備があるらしいから忙しいんですよね。」
「え!聞いてない!」
「あ〜、ちょっと前に決まったから、俺もたまたま知ったんですよ。」
「そっか〜…先生にしばらく会われへんのかぁ。」
「…そんなに会いたい?」
「はい。僕の癒やしなんで。」
「ふーーん。ヤスがぁ?」
「はい。大倉さんも先生には何でも相談するって…」
「まあ、そうですけど。俺は…そのぉ…癒やしとかには…」
「え?」
「いえ。あの、それでどうですか?」
「それは是非!行きたいです。」
「よし。じゃあ明日車で迎えに行くんで、準備しといてください。」
翌朝、結構早い時間に待ち合わせ。昨日遅かったのに、あまりにも爽やかな大倉さん。流石や。
「もしもし、先生?」
「丸山さん?」
「はい、先生、海外に行かれるって聞いて。」
「そうなんですよ。今日連絡しようと思ってたけど、大倉ですね。丸山さんにしばらく会えないのは淋しいですけど。」
「僕もめちゃくちゃ淋しいです。いつ帰って…あ!」
「ヤス?工房に二人で行くし。気をつけて行ってこいよ。はいはい。」
「大倉さん、ちょっと…」
「はい、どうぞ。」
「あ、えと、先生?」
「ほんまに。大倉、露骨やな。」
「え?」
「来週には帰ってきますから、その時にね。」
「はい、気をつけて行ってきてください。」
電話を切ると何となくイライラしてる大倉さん。
「あのー…」
「丸山さんはヤスと話すときめっちゃ楽しそうですね。」
「それはまあ、先生のこと好きなんで。うわっ!!」
車がぐらっと大きく揺れる。
「な、なんて?好き?」
「え、は、はい。ファンです。」
「あ〜、ファン?アイドル的な?」
「アイドル…まぁ、憧れてはいますね。芸術家としても、人としても凄いと思います。」
「…俺は?」
「え?」
「いや、何と言うかその、親友がそんな風に言われるのはうれしいです。」
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作者名:orange | 作成日時:2022年12月27日 14時