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「なんやえらい大変やってんなぁ。」

「ん。怖かった。」

「いや、なかなかそんなことないけど、お前ってなんか隙があるんやろうな。」

「そんなことは…」

「だって、暗かったとはいえ公園の真ん中やで?よっぽど周りが見えんくなってないとそんなこと出来ひんって。」

「それはそうやけど…」

必死に食らいつかれたその時のことを体が思い出す。気持ち悪い…。

「その大倉さんが通ってなかったらお前今頃…」

「そうやね…。ま、慣れてるけど。」

「…」

「あ。ごめん、何もない。」

「なんもないことあるかぁ!慣れてるて何やねん!」

「いや、その昔のことやし。」

「はあ?お前、昔も襲われたことあんのか?」

「ちょ、ちょっと村上さん、声が大きい。」

「そやかてお前、そんなもんちゃんと…しかも慣れてるて…」

村上さんが急に弱気な表情になる。

「え、村上さん?」

「お前、なんや大変やったんやな。」

ポンと肩に置かれる手。この人、ほんまに優しい人やな…

「さっきも言ったけど、昔のことです。俺、村上さんに出会って、かなり前向きに物事をとらえられるようになってきたって思ってます。少しずつ、村上さんのリハビリがきいてますから。」

そう言うと、パッと顔を上げる村上さん。

「そやろ?」

「…え。」

「まあ、ほんなら良かったわ。俺も声をかけた甲斐があるってもんや。よし。これからも俺についてこい。」

「あ…はい。」

何と言うか…切り替えの速さって大事やもんな。うん。



「企画部の課長?」

「ん。知り合いが人事部におってな。新しく作られる開発部の課長に他社から引き抜きで優秀なやつを持って来るんやて。マンネリ化を防ぐとかなんとか。」

「へぇ…」

「社長の意向らしいで。総会での話も結構すんなり通った所を見ると、かなり出来るやつが来るんちゃうか。」

「それでもいきなり課長って大変やね。」

「ん。どんな奴が来んのかってみんな盛り上がってるらしい。」

「開発部やったら営業はどこが担当するんやろ。」

「それは追々やろ。俺やったらどんなもんでも売り込むけどな。」

「はは!確かに。うちのエースやもんな。」

「お前かて大体トップファイブには入ってくるやんけ。」

「そんな常に1位の人に言われましても。」

「まあ、俺に追いつくにはあざとさがいまいちやな。お前は素直なところが買われるタイプやし。」

「また勉強させてください。」

「おー、かまへんかまへん。」

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作者名:orange | 作成日時:2022年12月27日 14時

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