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いつも一緒に触れて教えてくれる大倉さんの柔らかい手。僕のことを守ってくれるような先生の力強い手。二人に見守られて、僕の手は僕のイメージを形にしていった。
「できた…」
うん。なんかいい感じ。ちょっとは様になってるかも。
「先生ぇ、できたぁ。」
「ん？おっ！だいぶ良くなってきたね。」
「そうですか？」
「うん。きれいに出来てるわ。」
「やった！」
「丸山さんはコツコツタイプやね。どんどん良くなってる。じゃあ乾燥させよう。飯出来てるよ。」
先生とお弟子さん達と囲む食卓。みんなあったかくて、くつろげる空間。
「夕飯までごちそうになって、ありがとうございました。」
「いいえ。遅くなったから送るわ。」
「いいですいいです。ちゃんと帰れます。」
「あかんよ。」
「…すみません。なんか先生には甘えてばっかりで。」
自分の不甲斐なさに何となく落ち込む。毅然とした態度を取れないから、色んなことに巻き込まれるんやろうな…
「丸山さんは、とっても悩んでるんじゃない？」
「え？」
「仕事は順調。でも、なんで時々そんな暗い顔するんやろ。」
何も言えず先生を見る。真剣で強くて、すべてを包み込むような優しい瞳が僕を見ていた。
「あ…わ…すみません…」
なんでか分からない。涙がボロボロと落ちていく。
「丸山さん。みんな丸山さんのこと大好きやで。」
いきなりそんなことを言われて、涙が一層溢れてくる。
「一人じゃない。丸山さんはちゃんと愛されてるから。」
「せんせ…」
「ん。」
「先生は…、僕のこと…なんか知ってるんですか…」
「いや〜、陶芸が大好きになった可愛らしい人としか知らんよ。」
「なんで…」
「なんやろなぁ。可愛い弟子やもん。見てたら悩んでぐちゃぐちゃなことくらい分かる。」
「ｳｳｯ…僕は…」
「ええよ、無理に話さんでも。話したくなったらいつでも聞くから。」
そして、細いのにがっしりとした体に包まれる。なんて安心するんやろ。
「よしよし。今日は特別やで。抱っこのサービスや。」
そんな声と人のあたたかさに安心して、いつの間にか意識が遠のいていった。
「ヤス、お前なぁ！」
「しー！静かに。」
「どういうつもりやねん！」
「どういうつもりとは？」
「お前、俺のこと分かってやってんのか？」
「お前こそ、俺のこと分かってんの？」
「ﾝｯ…」
「ﾊｯ！」
なんだか小さな声のやり合いが聞こえてきて目が覚める。あれ、ここは…
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作者名：orange | 作成日時：2022年12月27日 14時
