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そうしてまた月日が流れ、歳を重ね、兄上とヒナ様は天国に旅立たれた。
「あなたの年老いたお顔をこのように見られるなんて、わたしは幸せです。」
「隆平様…」
「少しお別れをしなければならないの?」
「少しだよ。」
「…怖い。あなたと離れたことなどなかったから、とても怖いです。」
「隆平様。あなたはわたしのものです。誰にも渡さないし、1人になどしません。」
「忠義様…」
「少し眠って、次に目が覚めれば、隣にわたしがいます。」
「本当?」
「はい。だから少し目を閉じて…」
「手を握ってください…」
「ちゃんと握っているよ。」
「キスを…」
「隆平様、あなたと人としての時間を過ごせて幸せでした。愛しています。」
おでこに口に、忠義様の優しさがふれる。
「あなた…わた…し…も…」
「隆平様…」
深い眠りに誘われて目を閉じた。あたたかな兄弟たちとの思い出…忠義様との出会い…。不幸だと、お荷物だと思っていたあの頃が夢のように、たくさん愛され、幸せをもらった。
「隆平様…」
愛しい声…いつまでも優しくわたしを呼んでくださる忠義様の声…
「隆平様、起きて。目覚めの時ですよ。」
いつものように目をあける。
「隆平様。」
「…忠義様?」
「はい。」
「…お若くなられた。」
「ふふ。はい。」
「お懐かしい…なんて美しいのでしょう…」
「年寄りのわたしは美しくなかった?」
「いいえ!とても素敵でした。でも…」
「隆平様、あなたも昔のような姿で目覚められました。」
「え?あ…」
「ようこそ、天使の国へ。また新たな時をわたしと過ごすのですよ。」
「うれしい…」
「わたしもです。さあ、久しぶりに若返ったのです。愛し合いましょう!」
「え!ちょっ…ンンッ…」
「隆平様…」
「ま…って…まだよく…アッ…」
出会った時の情熱的な忠義様を思い出す。あの時も訳がわかっていない俺のこと放っておいて、めちゃくちゃ求めてくださった。
「ハァ…忠義様…わたしは…ンッ…天使になったの…?」
「そうです。チュッ…こんなに美しい天使を初めて見ました。ほら…集中して…」
「アッ…羽など…ンンッ…あるのかしら…」
「ふふ、どうでしょう。ハァ…美しい…わたしの…」
「ンッ…グッ…」
「ハァ…かわいい…ハァ…」
久しぶりに体を重ね、そのうち自分も夢中になって忠義様を求める。
「や…離れないで…アアッ!」
「大丈夫…ほしいだけあげますから…」
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作者名:orange | 作成日時:2022年1月30日 19時