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「その気持ちを利用したのです。療養場所としての魅力をすばるに吹き込まれ、そこに行けば治ると信じ込まされた。」

「そういえば、母上が運動の出来る服など、とても楽しげに用意してくださっていました。」

「ご両親は隆平様に付きっきりで過ごそうと考えておられた。ご自分たちの身の回りのことは全て側近に任せる。ご兄弟が来られては手一杯になるので、思いきって国に残すことにした。」

「そうだったのですね…しかし、兄弟が誘われなかったのは今から思えば救いです。」

「はい。すばるは、一族に集まられると全く手を出せなくなるかもしれないと思ったのでしょう。ご両親も最後まで本当にあなたをお守りしておられました。」

「…」

「隆平様、今はわたしがいます。ご両親のこと、心に大切に残しておきましょう。」

「はい。」

「あいつは用意周到に、その計画を始める最初に、この国に戦争を仕掛けおった。…沢山の天使が犠牲になってしまったよ。」

「そう。だからすぐに助けにいけなかったのです。駆けつけた時にはもう、ご両親を救える状態でなかった。本当に、すばるにしてやられました。」

それでも忠義様は悪魔たちを追い払い、すばるという悪魔にも傷を負わせて追いやってくださったらしい。

「気がつくと、血の海にいながら、全ての邪気を吸収していくあなたの姿がありました。」

そっと手にふれる忠義様。

「すぐに天界にと思いましたが、寿命でもないものを連れて行くことは出来ませんでしたし、そんなことをしては、あなたと永遠に生きていく道を失うことになるので、そのまま人間の手に預けました。」

「そうだったのですか…」

神様と忠義様と、いつまでも尽きない話。兄上が考えておられたことは間違いではなかったのだな。本当に悪魔に誘われていたなんて…

「稀有な魂は、その美しさゆえに争いを引き起こす。忠義、心してともに生きなさい。」

「はい。」

「さ、もう寝なさい。来週にはそなたの国に行かなくてわな。」

「よろしくお願いいたします。」



「忠義様…待って…ダメです…」

「待てない。」

「でも…アッ…」

国に戻ると、盛大な結婚パーティーが数日にわたり開かれた。あんなに賑やかな場所が苦手だったのに、国民を始め、他国の方々にも祝福され、幸せに満たされる。

「こんなにかわいい隆平様が隣にいるのに何も出来ないなんて…ハァ…隆平様…」

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作者名:orange | 作成日時:2022年1月30日 19時

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