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「それは、もちろん嬉しいが、あなたのお父上が何と仰られるか…」
「父には自由に生きよと言われております。隆平様を連れて挨拶に行けば、それで納得するでしょう。」
「ご挨拶にはわたしも伺います。」
「ありがたいお言葉ですが、隆平様と挨拶を終えてから、こちらからうかがわせてください。」
「しかし…」
「父もたまには遠出をしたいと思いますので。」
「わかりました。よろしいのであれば、あなたの言うとおりさせていただきます。」
「はい。それでは、出来るだけ早く国に戻り、話を進めたいと思います。」
「兄上…」
「ん。マル、お前の良いようにしなさい。そなたのそのような輝く表情を見れて本当にうれしい。忠義様、どうぞよろしくお願いします。」
「お任せください。」
話がどんどん進むことがうれしく、気持ちがとても明るくなる。
「章ちゃん、亮ちゃん、お土産たくさん買ってくるね。」
「マル兄様、とても美しい…」
「え?」
「そんなに明るい表情をされるのを初めて見ました。」
「穏やかで、美しくて…なんだか照れてしまいます。」
「章ちゃん…、亮ちゃん…」
「章大様、亮様。隆平様はわたくしのものです。これ以上見るのは禁止とさせていただきます。」
急にくるりと忠義様の腕の中に隠される。
「あ!酷い!!」
「忠義様、兄様を返せぇ!」
「絶対に嫌でございます。」
「これこれ、なんと騒がしいこと。マル、幸せね。」
「はい、ヒナ様。」
「盛大なお式にしましょう。計画を立てなければなりませんね。移動も大変ですから、王が来られたらしばらく滞在していただき、そのまま婚礼をいたしましょう。」
「よろしくお願いいたします。」
☆
「忠義様、タシュー国とは神様が治められている国なのですか?」
「まぁ、そうなりますね。時代とともに周りに合わせて変化をさせながら、近くで人間界を見るよい場所となっております。」
「三男坊ということはご兄弟が?」
「三男坊と厳密なものではなく、多くいる天使の中の1人です。天使は全て神の子と言われますが、出生は様々ですね。神が作り上げた者もいれば、母親のいる天使もいます。」
「忠義様は?」
「わたしは神が作ってくださいました。」
「神が作られた…ますます忠義様が神々しく見えます…」
「はははっ!隆平様にそのように言っていただくとうれしくなります。」
豪快に笑われる無邪気な姿。人と何も変わらないように思える。
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作者名:orange | 作成日時:2022年1月30日 19時