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「父上…」
記憶に何も残っていない父。そう言われても全く実感はないのに、なんとなく懐かしいような気がする。
「覚えておらぬのも無理はない。しかし、多く話すことがある。」
神殿の平安な様子。もっと得たいの知れない敵に囲まれるかと思ったけど…
「一体どうなっているのです？」
「うむ。お前が国を出た後、反乱を起こしたものたちが神殿を占拠した。」
「神殿を？」
「そうだ。わたしは幽閉されていたし、もはや術も使えぬ。何が起こっているのかも知らず、全て神の思し召しだと思って過ごしていた。が、そこに紀之様があらわれた。」
「おじいさん…」
「神殿に戻れ、隆平を取り戻せと。お前が居なくなったことも知らず、数年の時が過ぎていた。」
「おじいさんは…？」
「居られぬ。」
「え？」
「神官とわたしが目覚めたあと、姿を消された。」
「そんな…一体どちらへ…」
「分からぬ。お前にも語りかけていたらしいが、遠くに居ることしかわからないと。」
「１度声を聞きました。わたしを探してくださっていたのですね。」
「もともとの力があればすぐに探せたであろうに、わたしが不甲斐ないばかりに、わざわざ現世へと甦られ、救ってくださった。先祖の力に頼るしかなかった自分が情けない。」
「それはわたしもそうです。おじいさんがいなければこんなことには…」
「反乱したものはすでに牢獄だ。紀之様が全て根回しをしてくださっていた。」
「おじいさん…」
「我らがお前の所在がわかったときには、もうそなたらの進軍が始まっておった。」
「では、わたしの記憶が完全に戻ったあたりで父上もようやく動けたということでしょうか…」
「紀之様が鍵が開いたと仰っていたから、そうかもしれぬな。」
「では本当に最近のことなのですね、このように落ち着いたのは。」
「そう。全て神の思し召しだ。」
「わたしは…何をすれば…」
「祭壇へ向かうように紀之様は仰っていた。賊どももこの神殿や神のおわす祭壇を荒らすことは出来なかったようだ。なんとか御子の力を手に入れたくて模索していたらしいが…それも紀之様のおかげであろう。」
「そうですか…」
返事をしながら、なんとなくドクドクと心臓がうるさい。なんやろう…
「そなた、隆平の…」
「はい。大倉帝国の王子、忠義と申します。隆平様を我がパートナーとして迎えました。」
「そうか…。…男と結ばれたか。」
「父上…」
「つまり、子は残すなということだな。」
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orange(プロフ) - kkoyanagiさん» いつもありがとうございます！感想いただけてとてもうれしいです。また頑張ってみます！ (2022年1月27日 19時) (
レス) id: 7529fcda00 (このIDを非表示/違反報告)
kkoyanagi(プロフ) - 完結お疲れ様でした。でももうこの２人のイチャこらを読めないのはめちゃ寂しい。ぜひぜひ次作をよろしくお願いします、楽しみに待ってます。 (2022年1月27日 8時) (レス) @page38 id: 46c9530258 (このIDを非表示/違反報告)
orange(プロフ) - kkoyanagiさん» ありがとうございます！まさかコメントをいただけると思っていなかったのと、丁寧なお言葉に、ものすごく癒されました！！こんな拙い文章で申し訳ないですが、読んでいただけてうれしいです。 (2022年1月22日 13時) (レス) id: 7529fcda00 (このIDを非表示/違反報告)
kkoyanagi(プロフ) - モヤモヤした気持ち、少し分かるような気がします。その中で更新ありがとうございます。いつも楽しみにしています、orangeさんのペースでの更新待ってます。 (2022年1月19日 8時) (レス) id: 46c9530258 (このIDを非表示/違反報告)
kkoyanagi(プロフ) - 星がなんぼあっても足りない…… (2021年9月15日 8時) (レス) id: 46c9530258 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：orange | 作成日時：2021年9月3日 7時
