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「章ちゃん…」
「そうか。お前がおってくれたら安心やな。」
「お二人の力になれるよう尽くします。」
迎えは次の日の早朝にやってきた。厳かな馬車の前に、迎えの者が地面に平伏している。懐かしい。俺には顔を見せない。ただの人形たちに囲まれた世界。
「御子様。御無事の御帰還、大変嬉しく存じます。」
すらすらと無機質な言葉が耳に届く。
「面を上げよ。」
すっと、体を起こし、でも視線は地面を向いたまま。これが御子に対する礼儀。
「はぁ。」
「隆平様？」
「あ…」
思わず漏れたため息。そうか、俺、もうここの生活には戻られへんな。感情ない世界。こんな世界、何のためにあるんや。
「隆平様。」
「うん。」
章大に促されて忠義と３人で馬車に乗り込む。自分たちの馬車でもよかったけど…。そっと窓を開けると穏やかな街並み。初めてこんな風に見た自分の国。俺たちのために田を耕し、神のために、それを支えるために日々を過ごしてくれる人々。
「美しい所やな。」
忠義がそっと呟く。
「うん。ほんまやね。」
「まさか初めて見たとか？」
「そやね。俺は敷地から出たことなかったから。」
「そう…。自分の国はどう？」
「こんなに穏やかやとは思わんかった。神殿の中とはちょっと違う。」
「みんな純粋に神様を想って生活してるんや。俺が見ても穏やかで素敵な所やと思うよ。」
「…なんか、俺が何かをした訳じゃないけど、忠義に言ってもらうと凄くうれしい。」
「御子が自我を壊してまで守り続けてきたことが、民には伝わってるんや。」
「…俺…」
「それでも隆平が何かをしなければならないんやろうな。」
「え？」
「このままでも勿論素敵な所やで。でももし俺やったら、この国をもっと発展させたいなって思う。穏やかやけど、見る限り人が少なく、着ているものも、使っている道具もいつの時代のものなのか…、人々の目の輝きも、俺から見たら人形みたいや。」
「忠義…」
あの大きな国の王子がそう感じるなら、そうなんやろう。俺にとってはただ生活をして居た場所。神と対話をして居た場所。それ以上何もないただの場所…
「隆平はさ、自分で色々なことを知って、俺の国のことも勉強して、これではあかんと思ったんやろ？この国を変えたいって。」
「うん、そうやねんけど…やっぱり俺は間違っていたのかもしれない。」
「なんで？」
「俺が政治に口を出したら、特殊な能力のある俺に誰も逆らわれへんやんか。」
「ああ…」
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orange(プロフ) - kkoyanagiさん» いつもありがとうございます！感想いただけてとてもうれしいです。また頑張ってみます！ (2022年1月27日 19時) (
レス) id: 7529fcda00 (このIDを非表示/違反報告)
kkoyanagi(プロフ) - 完結お疲れ様でした。でももうこの２人のイチャこらを読めないのはめちゃ寂しい。ぜひぜひ次作をよろしくお願いします、楽しみに待ってます。 (2022年1月27日 8時) (レス) @page38 id: 46c9530258 (このIDを非表示/違反報告)
orange(プロフ) - kkoyanagiさん» ありがとうございます！まさかコメントをいただけると思っていなかったのと、丁寧なお言葉に、ものすごく癒されました！！こんな拙い文章で申し訳ないですが、読んでいただけてうれしいです。 (2022年1月22日 13時) (レス) id: 7529fcda00 (このIDを非表示/違反報告)
kkoyanagi(プロフ) - モヤモヤした気持ち、少し分かるような気がします。その中で更新ありがとうございます。いつも楽しみにしています、orangeさんのペースでの更新待ってます。 (2022年1月19日 8時) (レス) id: 46c9530258 (このIDを非表示/違反報告)
kkoyanagi(プロフ) - 星がなんぼあっても足りない…… (2021年9月15日 8時) (レス) id: 46c9530258 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：orange | 作成日時：2021年9月3日 7時
