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朝方まで探しまくって、一旦戻ろうという村上の言葉も聞かず、あちこち探し回って。それでもりゅうは見つからんかった。
「りゅう…はぁ…どうしたら…」
「忠義様…」
「俺…どうしたら…このままあいつがおらんくなったら、どうしたらええねん…」
「忠義様。必ず見つけましょう。必ず見つかります。りゅうは頭がいいから、これだけの捜索を掻い潜って逃げているのでしょう。とにかく体力勝負です。態勢を整えましょう、忠義様。あなたが道を見失ってはいけません。」
「…わかった。」
不安で震える体を村上がさすってくれる。横山が俺に変わって指揮をとり、とりあえず捜査が続けられる。
「少し眠って…」
「無理や…」
「大丈夫です。少し目を閉じて、落ち着きましょう。」
「はぁ…りゅう…」
毎日りゅうにしがみついて寝てたのに。なんやこの冷たさは…。ベッドってこんなに冷たかったんか…
「りゅう…ごめん…」
愛しい姿を思い浮かべているうちに意識が遠のいた。
◇
それから１ヶ月、りゅうは見つからない。忠義様はとうとう起きあがれなくなった。
「忠義様。スープ飲みましょう。」
「…」
「ほら、少し頭をあげますよ。」
「…いらん。」
「ダメです。」
「もう…生きてる意味が…」
「りゅうが見つかって、もし忠義様がいなくなってたら、りゅうはどうしたらいいんですか！？」
「…こんなに探して見つからんねん。もう…記憶が戻って、俺のことなんか忘れてる…」
ポロポロと涙をこぼす忠義様。無理やり一口飲ませて、でも、忠義様はそのまま眠ってしまった。
「はぁ…」
大変なことになった。忠義様が体調を崩されて、政治が一気に行き詰まった。あちこちで開発が遅れ、路頭に迷った貧困層や捕虜たちがあちこちで問題を起こす。その混乱に富裕層の中にも浮き足だって何か事を起こそうとする動きも出てきている。
「たった１ヶ月で…」
これほどまでこの人の存在は大きいんや。りゅうの資料もやっぱり素晴らしいもんやった。２人でこの国を支えてくれてたんや。
「りゅう…」
「忠義様…大丈夫ですよ。」
なんて切ない声なんやろ。
「りゅう、お前、どこに行ったんや…。忠義様が…」
忠義様が…死んでしまう…。不安で仕方ない。きみはりゅうが単独でここまで逃げてるとは思われへんって言ってた。いくらなんでも限界があると。何か事件に巻き込まれてるに違いない。
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作者名：orange | 作成日時：2021年7月6日 7時
