92 ページ49
「え！？そんなん嫌や！」
「あ、ごめん、大丈夫。怖くて、はしたないお願いをたくさんしてしまった…。は、恥ずかしい。」
「りゅう！あ、隆平！そんなん恥ずかしくない！めっちゃ興奮したし！いや、ちゃう。そんなことより思い出したん？」
「うん。」
「…でも、なんか雰囲気は変わらんような…」
「うん。そうやね。」
「なんかもっとこう、『我は…』みたいな感じになるのかと…」
「ふふっ、何それ。まぁ、そういうのも必要なときはあったけど。」
「え？」
「神の御子なんて言っても普通やで。でも、俺は力が強かったみたいで、気味悪がられた。」
「どうなったん？」
「閉じ込められた。」
「え？」
「あ、別に牢屋みたいなところじゃないよ。屋敷から出たことがないというだけ。でも、屋敷は広くて、そこでおじいさんと会った。」
「おじいさん？」
「第一代目の。」
「…ん？」
「俺にだけ見えるおじいさん。かっこよくて、優しくて、俺をこんな風に自由にしてくれた人。」
「全然わからん。」
「はぁ。ごめん。僕も…ん？…俺も？…俺も混乱してて。」
「そうやな、ちょっと落ち着こう。とりあえずシャワーやな。ほんで晩飯用意させるわ。」
「うん。お願いします。」
◇
「術をかけたのは自分自身やと思うんやけど…。まだいくつかロックがかかってる感じがする。」
「え…」
「章大という弟。思い出せない。」
「どういう…」
「命を狙われてた。うん。たぶん暗殺されるか…。でも…俺が死んだら色々問題があるから、殺されはしなかったんかな…？ん〜…わからん。」
「なんで狙われんの？」
「俺は神の国の腐った体制に嫌気が差して、全部壊したろうと思って動いてた。でも…動くって言っても閉じ込められてたのになぁ。なんやろ？」
「け、結構粗っぽい人なんや…」
「え、そうかな…。あ、だから結局、俺の子種を欲しがる連中が…」
「は？」
「あ、だから、俺の血を引く子を求められて…」
「ちょっと待って。んーと、まず、りゅう…あ、隆平は神の国の皇子、丸山隆平である。」
「はい。」
「弟のことは思い出せない。両親も？」
「うん。関わったと思われる近しい人が出てこない。おじいさんだけ。そう！おじいさん！」
「第一代ってことは、当然もうこの世の人じゃないよね？」
「うん。俺にだけ見えたんやと思う。」
「さすが神の国やな。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 38人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：orange | 作成日時：2021年7月6日 7時
