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「りゅう？」
「ん？りゅう、どうした？」
「なんか、さっきから…」
「ﾊｧﾊｧﾊｧ…ごめ…なさい…ちょっと…」
「忠義、奥に連れていけ。もうこっちは大丈夫や。」
「あ、ありがとう。」
裏の小部屋に入ると、ソファに倒れこむりゅう。
「りゅう！」
「ﾊｧ…なんか…変…」
「変？」
「ﾊｧ…頭が…割れそ…」
「おいっ！村上！医者や！」
「はい。」
すぐにいつもの先生が来てくれる。
「りゅう様。」
「せんせ…」
「ゆっくり。なにか思い出しそうなんですね？」
「え！？」
「はい…なにか…あの挨拶…みんな並んで…順に…」
「あれと同じ経験をしたことがあるのですか？」
「…挨拶に…もっと暗くて…ﾊｧ…もっと嫌な感じ…」
「嫌な感じ…？」
「忠義、りゅうは？」
「しーっ！なにか思い出しそうや…」
「…無表情に…張り付けた笑顔の人たちが…順に…何を言ってんの…？…皇子…？俺のこと…？俺は…」
「りゅう様は皇子なのですか？」
「俺は…皇子…120代目の…」
「ひゃ…120！？」
「りゅう様…今どちらに？」
「ここは…屋敷の…閉ざされた屋敷…でも…誰もいない。」
「いつもは誰かいるのですか？」
「いつもは…ﾊｧ…痛い…頭が…割れる…」
「りゅう！」
「ﾊｧ…忠義が…」
「ここやで、りゅう？」
「ﾊｧ…」
「りゅう！？」
腕の中で全身の力が抜けるりゅう。
「先生…」
「気を失っておられる。」
「どうしたら…」
「今日はもうお休みください。また夜中にお目覚めになるかも知れませんが、とりあえず休ませてあげましょう。」
「はい。」
「ほんまに…皇子なんやな。」
「120代目って…」
「大体二千年くらい？三千年…？いや、短命な王が続いたら…」
「わからんけど…すごいな…」
「ほんまなんやろか？なんかすごすぎて…」
「ん…。まぁ、今考えてもしゃあない。とりあえず、お前はりゅうを連れて屋敷に戻れ。」
「はい。父さん、今日は本当にありがとうございました。」
「２人のええ顔が見れて俺も幸せやったわ。」
「父さん…」
「忠義。町であんだけ顔を出して、ここから他国にもりゅうの似顔絵が渡るやろう。それがどんな風に出てくるか、気を抜いてられへんぞ。」
「わかっています。いや、いるつもりです。いつどうなるかなんてわかりませんし。でも、りゅうを守るのは俺しかいませんから。」
「ん。とりあえずはゆっくり休め。」
「はい。ありがとうございます。」
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作者名：orange | 作成日時：2021年7月6日 7時
