Sunny after rain 3 (ページ39)

今日:3 hit、昨日:2 hit、合計:19,139 hit

82 ページ39

「忠義様。」

村上がりゅうの手を俺に差し出す。その手を取る自分の手が震えてる。…へたれやな、俺。苦笑いをしていると真っ直ぐな視線を感じる。

「りゅう…」

俺の事をじっと澄んだ瞳で見つめるりゅう。そのうちスッと落ち着いてきた。それを感じたのか、りゅうがにっこりと笑顔になる。あまりに魅力的なその表情に顔の温度が上がる。

「こちらへ。」

先導の者に促されて、みんなの前で結婚の誓いを読み上げる。会場に巻き上がる拍手。隣のりゅうが本当に幸せそうな顔をしてくれていて、泣きそうになる。

「では、指輪を。」

互いの指に俺が厳選した指輪。見つめあって、両手をとって誓いのキスをする。再び会場には拍手がおこり、２人で微笑みあう。

「さあ、バルコニーへ行くぞ。」

父さんが立ち上がり、そのあとについてバルコニーに向かう。そこには広場を埋め尽くすほどの国民が待っていてくれた。２人が並び立つと拍手と歓声の嵐。手を振るとみんなが手を振り返してくれる。

「りゅう、ほら。」

「そんなん…俺なんか…」

「みんな待ってるよ。」

りゅうが恐る恐る手をあげる。女性の歓声がまずあがり、同じようにみんなが歓声をあげ、手を振り返してくれた。

「りゅう、よかったな。」

「…うん。この人たちのために、頑張りたい。」

「ふふっ。仕事の話？」

「え、うん。」

「りゅうの真面目なとこ、ほんまに好きやわ。」

「…もぅ。」

「え、なに？」

「さっきから、かっこよすぎて困る！俺、どんだけドキドキしてるか知らんやろ。」

「ふふっ。そうかそうか。でも、それは俺も一緒やし。」

「はいはい。もう、いちゃつくの最後にして。パレード行くか。」

「あ、はい。」

宝石の散りばめられた特注の馬車。母さんの好きだった花で作られたブーケをりゅうが大事そうに抱えながらそこに乗り込んだ。たくさんの警護に先導されて、大通りを行く。

「こんなにも祝福してくれるんや。」

「忠義が、国民のためにどれだけの事をしているか、みんな知ってくれてる証拠やな。」

「こんなに大々的な結婚式になるとは…」

「え、忠義が、企画したんじゃないの？」

「したよ。でも、思ってた数十倍派手。父さんやな。」

「お父さんが？」

「ふふっ。父さん、うれしいんやと思う。りゅうとの結婚、ほんまに喜んでくれてるんや。」

「…うれしい。」

「俺もうれしい。」

「ふふっ。」

見つめあって微笑むと沿道から歓声が上がる。