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「あ…じゃあ…前にしんどそうにしてたのって…」
「そうや。仕事も忙しかったけど、それが一番大きな原因やし。」
「そうやったんや…。ごめんな。」
「りゅう。はぁ…。りゅう。」
忠義の目から涙がこぼれる。
「忠義っ！どうしたん！？」
「だって…また…また…お前がおらんくなったら…怖い…」
「あぁ…忠義…」
忠義を引き寄せて胸にぎゅっと抱きしめる。子どもみたいに俺にすがってくる忠義。いつもあんなにしっかりして、俺を導いてくれるのに。
「ｳｳｯ…」
震えてる。こんなにも俺は愛されてるんや。その人を裏切ったらあかん。自分でちゃんと考えよう。自分のこと、ちゃんと向き合ってみよう。
「忠義、俺、ちゃんと向き合ってみる。自分のわからんタイミングでどうにかなってしまわないように、ちゃんと向き合うから。」
「ほんまに？」
「うん。」
「俺…お前がおらんかったら死んでしまう。」
「忠義…」
「りゅう……めちゃくちゃにしていい…？何も考えられへんくらい…めちゃくちゃに…」
「忠義…」
涙でぐちゃぐちゃの忠義が顔をあげる。瞳も涙もすべてがキラキラしてる。口づけられて、あっという間にすべて取り払われて、自分だけ何度も吐き出す。フラフラする俺を抱きかかえて浴室で思い切り後ろから責められる。
「ﾊｧ…ｸﾞｯ…ﾀﾞﾒｯ！…忠義っ！」
どれだけ果てても忠義に抱かれていると思うとすぐに快感が襲ってくる。
「ﾊｧ…もう…も…っ…ｱｯ…」
ベッドのシーツが俺が握りしめたせいでしわくちゃになってる。もう何度も求められて、頭の中が真っ白。あ…また……忠義の気持ちが体を揺さぶる。
「ﾊｧ…忠義…好き…」
「りゅう…俺だけ見て…俺だけ…」
「ﾊｧ…ん…」
「俺だけ…」
「ん…ﾝﾝｯ…ああっ！…」
誰も…誰にもおかすことのできない二人だけの世界。いつまでも、どこまでも続いて、一体その先には何があるんやろう。
「りゅうっ…」
忠義の声を聞いた瞬間、自分でも聞いたことのない叫び声をあげていた。忠義が自分の中で弾けて上に倒れてくる。バクバクと動く心臓の音。激しく乱れた忠義の呼吸を聞きながら、そのまま意識を手放した。
◇
「りゅう、これ！」
久しぶりに町に出た。ネックレスを買ってくれてからはじめてになる。腕を組んで、２人で寄り添いながら買い物を楽しむ。料理をはじめてだいぶ上達した俺に、調理道具を買ってくれるらしい。
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作者名：orange | 作成日時：2021年7月6日 7時
