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「りゅう、きつかった？」
「…ううん…うれし…かった…」
「ええよ、寝てしまい。」
「…で…も…」
「大丈夫。俺が抱っこしてるから。」
「…ん…おや…す…」
「おやすみ、りゅう。」
腕の中のりゅうはいつもすごくあったかい。汗でびちょびちょになるのにどうしても抱きしめて寝てしまう。どれくらいたったのか…またりゅうの苦しそうな声で目を覚ます。
「ﾝﾝｯ…逃げ……あかん…」
何かから逃げてる。必死で。誰かに庇われてるんやろうか…りゅうは自分のことより周りのことばっかり心配してる。
「しょうた！！…ｸｯ…しょ…た…」
また…。誰なんやしょうたって。庇ってくれた人の一人ではあるんやろうな。苦しそうな表情…
「りゅう…大丈夫。ゆっくり休み。大丈夫。」
背中をさすって頭を撫でて、しっかりと抱きしめなおす。力が抜けていく。安心してくれてる。りゅうにとって必要な俺でありたい。
「りゅう…」
なんでこんなに惹かれるんやろう。好きになるのに理由なんてないって横山が言うとったな。どうしようもないこの気持ち。愛しくて、好きすぎて不安で、でも、りゅうのいてくれる空間が俺にとってほんまに天国みたいに穏やかで幸せなんや。
「ちゃんと守るから。」
汗でいっぱいのりゅうのおでこにキスをして誓う。それが俺の生きる原動力になる。生きる意味を教えてくれた。
「よし。」
俺も動きだそう。怖がってる場合じゃない。なにかあるはずや。ちゃんと調べて、真実を知って、りゅうのこと守っていこう。
◇
週末、久しぶりにりゅうを連れて町に出た。出かけようと誘ったときのりゅうはかなり驚いていたけど、めちゃくちゃ嬉しそう。これまでデートすると言っても宮殿の敷地内を歩くだけ。まぁ、それでも広いし、色々あるから楽しんでくれてたけど。
「た、忠義！なにを着ていこう？」
「ん？そうやな、頭からすっぽり布を被って…」
「え？」
「あ、いや、りゅうやったら何でも似合うよ。」
「ん〜…」
「じゃあ、お揃いにしよう。これとこれ。俺はこのマントにするし。」
「…かっこいい。」
「ふふっ。いや、りゅうもかっこいいよ。」
「そうかな…？」
「うん。」
護衛は10人ほどつけた。多すぎる…。でも、心配やし。
「忠義！こ、これ食べたい！」
さっきから食べ物に夢中のりゅう。俺もかなりの食いしん坊やけど、人のこと言われへんやん。
「お前、もう腹一杯やろ。」
「まだいける！」
「しゃあないなぁ。」
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作者名：orange | 作成日時：2021年7月6日 7時
