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「しばらくしてやってきました。我々は店の地下を荒し、りゅう様が消えたとだけ説明しました。」
「で？」
「酷く取り乱し、私も殺されそうになったのですが、中心核の男が止めに入りました。そしてりゅう様の手当てのことだけを聞いて去っていったのです。」
「生きていればとりあえずはいいということか。」
「おそらく…。王の軍隊がうちを囲んだことや王が来られたことも、この辺鄙な場所のために知っているものは少ない。我々が連絡の先も分からなかったと言えば、何よりもすぐにりゅう様を探すことを優先したようです。」
「そうか。それで？」
「一体りゅう様に何があるのか。危険を承知でその男たちを尾行させました。男たちはしばらくこの国で捜索活動をしたあと、諦めたのか他国へ旅立ちました。そして、丸山帝国へと入っていったそうです。」
「丸山帝国…？」
「え、あの、神の国と言われる…」
「そうです。誰も侵すことの出来ない国。神の住まう国です。」
「そんなところに何で…？」
「それが…神の国の周囲で密かに噂されていることがあるようで…」
「なんだ？」
「争いとは無縁の丸山帝国で、謀反が起こったと。」
「謀反？」
「その最中、神の子である皇子が、弟と共にいなくなった…と。」
「え…？」
「皇子の名は丸山隆平様。弟は章大様。誰も詳細は分からない。ただ閉ざされたあの国の中で、何かが起きた。そして逃げてきたわずかな者の中にそれを伝えたものがいる。」
「しょう…た…？」
「そんな情報よく手に入れられたな。」
「このような経験は初めてですが、まるで私が情報を探すのを待っていたかのようでした。」
「俺の密偵は何をしてたんや…」
「何せ神の国のことなので、情報を持っているものも用心したのでしょう。私は親戚があちこちにいますので…」
「まぁ、ええわ。しかし、どこまで信じたものか…。りゅうは逃げ延びてきた奴の１人ということになんのか？」
「父さん…」
「なんや？」
「前にお願いしましたよね、しょうたという名前…」
「ん…？そういえば…」
「りゅうが、よく寝言で「しょうた」と叫んでいるから捜索したいと…。神の子の…皇子の弟を呼びすて…」
「…お前…」
「…」
「…どえらいもん拾ってきたな」
「りゅうは…」
「もし情報が確かなら、丸山帝国の皇子ということになるな。」
「…」
「それもただの皇子やない。神の国の皇子や。」
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作者名：orange | 作成日時：2021年7月6日 7時
