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「そんなもん、亭主関白人間に子育てを語られたくありませんね。」
「ああ〜…そやな。失礼しました。」
相変わらず何でも器用な村上に教えてもらいつつ、毎日の看護を続けていた。返事もないのに話しかけるのも、もはや自然になってきたな。
「はぁ〜疲れた。りゅう、じゃあ寝るか。」
そっとおでこにキスをする。シャワーに行こうとしたら、ふと服が引っ張られる感じがした。
「え、りゅう…？」
「…ﾝｯ…」
「りゅ、りゅう！」
前のことがあるから一瞬怖くなったけど、すぐにりゅうが気づいたことの喜びが上回ってくる。
「りゅう！わかるか？俺やで？」
「…忠義…」
「そう。手ぇ握ってんのわかる？」
「…ん…。俺…は…」
「なんも考えんでええ。りゅう、俺のことだけ見て。」
「…忠義…」
じっと見つめてくるりゅう。久しぶりや、こんなに見つめあったん。あれ…
「りゅう？なんで泣いてんの…」
「ｳｯ…ｳｳｯ…ﾝｯ…ごめ…なさい…ｳｳｯ…」
「りゅう？」
「俺には…ｳｯ…忠義の隣にいる資格…ｳｳｯ…ない…」
「りゅう…何てこと言うねん…俺がどれだけお前を待ってたか…」
「ｳｳｯ…調子…に…乗ってたからっ…バチが当たった…」
「りゅう…ちゃうよ。ちゃう。バチがあたったんは俺や。俺が全部悪い。りゅうがこんな目に遭ったんも全部俺のせいやねん。」
「ｳｳｯ…ｳｳｯ…」
「りゅう…話聞いて…」
「だって…だって…」
「見たんやろ？俺が違う男と抱き合ってんの。」
「ﾊｯ！…ｳｳｯ…もう…俺なんか…」
「りゅう…泣かんと。そんなんちゃうねん。」
頭をゆっくり何度も撫でながら、片手はしっかりとりゅうの手を握る。
「あれはな宏光って言う奴で、学生時代の同級生。仲良くしとったんやけど、あいつは俺のこと恋愛対象として見てたらしい。俺はそんなこと微塵も思ってなかった。卒業して、優秀やったあいつは俺と同じ仕事を別の場所でしてくれとった。ほんであの日帰って来たんや。」
「ｳｯ…ｳｳｯ…」
「すれ違い様に告白された。抱きつかれて驚いたけど、俺、無下に引き離されへんかってん。」
「ｳｳｯ…好きやから…」
「違う。ほんまにりゅうのことを好きやったから。」
「ｳｯ…え…？」
「心底人を好きになることを俺は知って、宏光の報われない気持ちを思ったら辛くなってもーてん。もしりゅうに告白してフラれたら…りゅうにもうパートナーがおったら…って。」
「…」
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作者名：orange | 作成日時：2021年7月6日 7時
