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「忠義！忠義！！」
誰かが呼んでる。もうこのまま起きたくないのに。そっちに呼ばんといてよ。
「ごらぁ！忠義！！」
ら、乱暴やな…。やっぱり嫌や。
「ほんまにヘタレやわ、こいつ。」
「ここまでとは思いませんでした。」
「こいつほんまに俺の息子か？しゃあない。りゅうは俺がもらうわ。」
「いや、父さん！それやったら俺が…」
「亮は最近彼女出来たばっかりやんけぇ！」
「そんなん、父さんもなんやかんや聞いてんで！」
「は、はぁ？なんやねんそれ！」
「ほんま、嫌やわぁ。父親のそういうの聞くんめっちゃ嫌。」
「うっさいわ！！」
「いや、あんたらがうっさいわ！！」
「…」
「ﾊｯ…父さん…亮…」
「やっと起きた。」
「わっ、あかん…」
急に起きたからか、めまいがしてベッドに倒れこむ。
「忠義、見つけてきたぞ。」
「……え？」
「りゅう兄、連れて帰ってきた。」
「え！！りゅう！！わぁっ！」
「危ない！忠義様、落ち着いて。」
「落ち着いてられるか！早く！早くりゅうのとこ…」
「忠義、よー聞け。」
「え…なに？」
「今は会われへん。」
「え…りゅう…なんかあった？まさか…」
「大丈夫。死んでない。でも、危ない。」
「え…なんでそんなことに…」
「まぁ、聞け。」
父さんと亮、それに横山も村上もこの１ヶ月めちゃくちゃ動いてくれたことがみんなの話でわかる。特に俺が倒れてから、総力を上げて探し回ってくれてた。
「…ありがとう。ほんまに。俺…自分でも怖いくらい動かれへんくなってもーて。」
「兄さんを見て、ほんまにりゅう兄のことを愛してるのが分かった。今まで理解出来ひんかったけど、母さんを亡くした父さんの気持ちも分かった気がする。」
「俺はここまでへたれてないけどな。まぁ、俺にはお前らがおったし。」
「父さん、たまにはええこと言うねんな。」
「亮。俺はいつでもええこと言ってるからな、勘違いすんな。」
「ふふっ。はい。」
「忠義、ヘタレてた分、ここからはお前の仕事や。りゅうの状態はかなり酷い。俺でも目を背けたくなった。相当な拷問や。」
「…」
「意識も戻ってない。お前はすぐに体力を戻して、りゅうの看病や。」
「はい。」
「村上も横山もいつもこいつのためにありがとう。」
「そんな…役目ですから。」
「いくら役目でも、気持ちがなかったらこんな風に務まれへん。ほんまに、忠義にお前らがおってよかった。」
「王様…もったいないお言葉…ありがとうございます。」
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作者名：orange | 作成日時：2021年7月6日 7時
