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「めくれ。」
「え？」
「布団をめくれ。」
「それは…」
運んできた店の者達が戸惑っている。すると店主が進み出て布団を一気にめくった。
「こ、これは…」
ムチで打たれた痕が無数にある。体中の皮がめくれて、虫がわいていたと思われる部分もあった。
「ｳｯ…」
誰かがえづく。知らないうちに涙が流れていたのを慌てて拭う。
「お前…よーやってくれたな…」
「これで引き下がっていただけるという約束です。」
「ﾁｯ…お前んとこは監視を強める。なんとか尻尾を捕まえて潰してやるから覚悟しとけよ。」
「…なぜこのような捕虜がどの国も大事なのです？この国にとってもただの捕虜ではないと言うことですか？」
「お前の知ったこっちゃない。依頼主に言うとけ。こいつは大倉帝国が貰いうけると。文句あるんやったらいつでも攻めてこいってな。帰るぞ。急いで医者に見せる。」
「はい。」
ベッドに乗せたりゅうを兵士が丁寧に運び出す。しかしすでに夜中になっていたためこのまま帰るのはかなり困難になる…
「りゅう兄！！」
「亮！さわるな！」
「え？」
「ひどい傷や。触るだけで悪化する。」
「そんな…」
「早く運んでやらな…」
すると大きな馬車がこちらにやってきた。
「王様。」
さっきの店主が、道端にも関わらず丁寧に座って頭を下げる。
「なんや？」
「これをお使いください。」
「何の真似や？こんなことしても対応は変わらんぞ。」
「構いません。わたくしもこの国に助けられたひとりです。前の国ではこのような財は築けなかった。」
「…嫌味か？」
「いえ…勘違いしてもらっては困ります。商売をするにはこの時代、裏も表も必要です。ですが、恥ずべきことはしておりません。」
「そのわりにはグレーな部分が多すぎるけどな。」
「…監視を続けていただければわかるはずです。とにかくこの馬車なら揺れもほとんどありません。医者はおそらく王宮の方が揃っておいでかと…」
「…ふん！わかった。監視してよー見させてもらうわ。でも…とりあえずは助かった。」
「はい。お気をつけて。」
「ん。行くぞ！」
先に走らせた兵士から連絡を受けて、王宮ではりゅうの治療のためにチームが組まれ、専用の部屋と機材が整えられていた。
「おい！早く運べ！！」
「…これは…酷い…」
「うちの長男の許嫁や。完ぺきに治せよ。」
「全力を尽くします。」
「頼んだ。亮！横山！」
「はい。」
「忠義のとこ、連れていけ！」
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作者名：orange | 作成日時：2021年7月6日 7時
