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しばらくすると、スラリと背の高い男が現れる。
「王様、このような辺鄙な場所へようこそおいでくださいました。店主の鞠と申します。」
「ん。」
「すぐにお部屋を用意させますので、こちらで…」
「そなたに聞きたいことがある。」
「はい。」
「最近、何か拾い物をしたか？」
「…はい？」
「物と言っては分からぬか。それとも最近拾った物が多すぎるか？」
「…何を言っておられるのか。」
「すぐに出すのであればそれだけもらって帰ろう。抵抗するならこの店を今から叩き潰す。」
「…そのようなこと。」
「王の軍隊に勝てるだけのものを、そなたは持っていると？」
「…」
「男の捕虜だ。」
「捕虜…？」
「この１ヶ月、行方不明になっている。」
「…」
「わからぬと申すか？」
「…どのような状態でも？」
「命は？」
「生きております。」
「すぐに出せ。」
「少し、時間をいただきたい。あと、ここでは困ります。そちらの部屋でお待ち願います。」
「そなたは一緒に来い。部下に指図かあるならこの場でしろ。」
王が見守る中、店主が店の者に話をする。
「…できるだけきれいに。ベッドのまま裏から連れてきなさい。」
「…わかりました。」
できるだけきれいって…りゅうはどんな状態なんや…。すぐ近くの部屋に通されると、王が質問を続けた。
「なぜここに隠した？」
「…」
「他国か？」
「…」
「お前はどこまで知っている？」
「その者が知っていることを吐かせろとしか…」
「それで拷問を？」
「…」
「なぜそのようなことを…。…金だけではあるまい？」
「…」
「はぁ…。このまま店ごと潰すで？」
王の口調が変わる。動じた様子はなかったが、店主は説明をはじめた。
「金と、他国との販売ルートの確保です。」
「それが交換条件？捕虜が他国と繋がっているということか？」
「わかりません。」
「ふーん…。それで？何か聞き出せたんか？」
「何も。王がわざわざ来られるほどの者だとも知りませんでした。」
「そうか…」
「こちらも手を焼いていた所でした。」
「うまくいかなかったらどうなっていた？」
「その者が隠している秘密はどうしても手にいれたいらしく、殺すことは出来ないようでした。ですからそのままずっと拷問を続けることになっていたと思います。」
(ｺﾝｺﾝｺﾝ)
「入れ。」
「ﾊｯ！りゅう！！」
ベッドに横たわっているりゅう。顔にいくつか傷がある。ピクリとも動かない。
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作者名：orange | 作成日時：2021年7月6日 7時
