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「ごっそさん。おいしかった。」
「ほんま！？」
「うん。」
「ふふっ。じゃあ、お風呂わいてるから。」
「ん。」
なんか大きな息子が出来たみたい。何でもお世話をしたくなる。まぁ、俺、不器用やから失敗するときも多々あるんやけど、でも、尽くしてる感じが幸せ。
「りゅう〜」
「はい。」
宮殿の敷地内、一番奥にある屋敷。近くにはお手伝いさんや警護の人がたくさん常駐してくれてるけど、家の中は2人きり。外で張りつめてた忠義もここではリラックスしてくれる。そういう雰囲気を作るように頑張ってる。
「はぁ。りゅう、おいで。寝よ。」
ベッドに入って忠義様の腕の中。頭にキスが落とされて、そのまま忠義様がすっと眠っていく。目の前の忠義様の胸。守られてる感じが心底安心をくれる。このままずっと２人、幸せに暮らしていけますように…。
◇
りゅうとの結婚式は三ヶ月後に決まった。りゅうを民衆にお披露目するのは楽しみでもあり、不安でもある。
「忠義様。りゅうのこと町に出してあげないんですか？」
「は？」
「いや、りゅうってここに来てから一人で町に出たことないでしょ？」
「まぁな。絶対出さへん。」
「…」
「そんなん、絶対無理。考えただけで嫌。自分の奥さんを他に見られたい奴おる？」
「いや〜…でも、ストレスたまるんちゃいます？」
「そぉかなぁ〜？それはほら、俺頑張ってるから。」
「いや、そういうことちゃうねん。たまには外の空気も吸わせてやって、そしたらまた新鮮な顔が見れるかも知れないでしょ？」
「ん〜…。ん〜…。いや〜…。やっぱ嫌。」
「そんだけ悩んでその答えやったらしゃあないか…」
「そやろ？」
「はい。じゃあ２人で旅行は？」
「それは考えてるんやけど、なにぶん忙しくてね。お前も知ってるやろ？」
「地域の治安維持と開発が目下の所一番必要ですもんね。」
「そうやねん。はぁ〜りゅうとゆっくりいちゃつきたい。」
「それを聞いたら喜ぶわ。」
「え？」
「最近忠義様の帰りが遅いし、疲れてるし、めっちゃ心配しとった。」
「そんなことお前に言うんか？」
「はい。」
「えー！なんか嫌や。」
「何でやねん。りゅうにとったら忠義様しかいてないんやで？ちょっとしたことで心配になるんや。だから少し外の空気でも吸えば気も紛れるんちゃうかなって…」
「そうか…そうやんな。りゅうにとったら俺だけなんや。記憶が戻ったらまた違うんかもしらんけど。」
「そんなに心配せんでも…」
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作者名：orange | 作成日時：2021年7月6日 7時
