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「なんかその教科書みたいな答えスゲーな。ちょっとわがまま言うてみ？」
「わがまま…」
「そうですよ、りゅう様。たまにはわたくしたちに無茶なこと言ってください。」
「ん…なんやろ…。」
「ないの？」
「ん〜…あっ！」
「おっ！言ってみろ！」
「外歩きたい。」
「は？」
「宮殿の外。」
「あ〜。」
「忠義様と婚約して一回も宮殿から外に出てないから…。もっとどんな町か知ることができたらなぁって…」
「なるほどなぁ。でもそれは一番難しいお願いやな。」
「ですよね。」
「忠義様に直接言うてみるか。」
「え、信ちゃんが？」
「ん〜…でも、たぶん一言で終わりやろうな。」
「うん。」
「大事にされるのも大変やな。」
「いや、まぁ、特別望んでるわけでもないから…」
「ええ嫁やなぁ。俺も見習おう。」
「そんな気ないでしょ、村上様…」
「(笑)。俺のそのまんまを好きやからなぁ、あいつは。」
「はいはい。りゅう様、仕事続けましょう。」
◇
「お帰りなさい。」
「ただいま。りゅう〜ぎゅ〜。」
「ﾝﾝｯ…苦し…」
「はぁ〜りゅうや。」
「忠義、お疲れ様。ごはん食べれる？」
「ん〜…りゅうが食べさせてくれたら。」
「ん。おいで。」
「ｳｳｯ…りゅう〜好き〜」
「わっ！重い！ちょっと…あ…無理…」
忠義様にのし掛かられてそのまま押し倒されるような形になる。
「わ…」
「ん？」
「…ほんまに…彫刻みたいにきれい。」
「そう？」
「うん。忠義は男前過ぎて困る。」
「どうしたらいい？」
じっと見つめられて、ドキドキと心臓が波打つ。金縛りにあったみたいに動けない。
「りゅう？」
「…キス…して」
「ﾁｭｯ。」
軽く触れて離れる忠義様。たくましい腕…厚い胸板…また見つめられて体の芯が痺れる。
「…こんだけでいいの？」
「あ…」
「言って。」
「もっと…深く…ﾝﾝｯ…」
激しい忠義様のキス。あぁ…仕事で疲れてるのに悪いなぁって思いながら、心地よさに浸ってしまう。あ…離れる…
「ふふっ。どうした？」
「ん…離れるの…嫌やなって…」
「かわい。ﾁｭｯ。でもお腹すいた。」
「うん。ごめんなさい。」
「なに？」
「わがまま言って…」
「わがままちゃうよ。疲れが吹き飛ぶわ。」
そういいながら抱きしめて体を起こしてくれる。晩ごはんは手料理を頑張ってる。女中さんが教え上手で忠義様ほどじゃないけど、だいぶ慣れてきた。無言でひたすら食べてくれる姿がうれしい。
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作者名：orange | 作成日時：2021年7月6日 7時
