303 橙サイド ページ3
橙サイド
静かになったホテルの部屋。考えるのはひたすら忠義のこと。仕事のことだって、あの人との面会のことだって、考えなあかんことは山のようにあるのに、頭の中は忠義でいっぱい。
「はぁ…」
電話に女の人が出ただけ。飲み屋に行ってんねんから、ふざけてそんなこともあるやろ。
「情けない。」
でも…やっぱり僕、自信ないんやな。あれだけ愛情をもらって、いつだって包み込んでくれる忠義が酷いことするわけないのに。自分がそれに答えられてる自信がない。
「あかん…なに泣いてんねん…」
ポタポタ落ちる雫はなんなんやろ。はぁ…ほんまに情けない。
(ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ)
あれ？ルームサービス…？こんな夜中にスーツ持ってきてくれた…？
「え！」
痛い。体がつぶれてしまう。自分より少し大きな体に、強く、きつく抱きしめられる。
「ｸﾞｯ…た…」
「隆平…」
名前を呼ばれて、体にあたたかさが伝わって、忠義のちぎれるくらい痛そうな気持ちが、抱きしめる強さから伝わって。
「なんで泣いてんの…？」
「ｳｯ…」
「隆平。愛してるよ。」
「ｳｳｯ…忠義っ！ごめんなさいっ！」
「ほんまに。どんだけ心配したと思ってんねん。」
「ごめんっ…ごめん！…忠義…」
「なに？」
「そんなに泣かんといて…」
「…無理やで。俺、隆平がおらんくなったら生きていかれへんねん。何回言ったらわかんの？」
「ｳｳｯ…」
「不安にさせた？」
「ううん。僕が…勝手に拗ねただけ…ごめんなさい。」
「どれだけ怖かったかわかる？」
「うん…」
「どれだけ…どれだけ怖くて震えてたか…」
「ｳｯ…忠義…」
「ほんまにわかってんの？」
静かに泣きながら、低く、震える声で、淡々と紡がれる言葉。心の底に積み重なっていく。
「うん。もうこんなことしません。」
「わからんやん、そんなん。」
「不安になったら、ちゃんと忠義と直接話する。」
「前もちゃんと話するって約束したやん。」
「…ごめんなさい。もうしません。」
「約束できんの？」
「うん。」
「破ったら許さへん。」
「はい。」
「…ごめん。痛かった？」
腕の力が緩められて、全身に一気に血が流れていく。覗きこむ不安そうな瞳。…僕…なんて酷いことをしてしまったんやろ…。急にいなくなるなんて、絶対したらあかんかった。
「隆平？」
「…忠義…ごめん。不安にさせて、ごめん。ほんまに愛してる。」
忠義の頬に片手を添えると、そこにすり寄ってくる忠義。
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orange(プロフ) - あーちゃんさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて本当にうれしいです。またよろしくお願いします。 (2021年4月17日 20時) (
レス) id: 7529fcda00 (このIDを非表示/違反報告)
orange(プロフ) - kkoyanagiさん» コメントありがとうございます。楽しんでいただけてよかった！丁寧な感想にうれしくなりました。またよろしくお願いします。 (2021年4月17日 20時) (レス) id: 7529fcda00 (このIDを非表示/違反報告)
kkoyanagi(プロフ) - ありがとうございました。そしてお疲れ様でした。強火の倉丸担なので更新が楽しみで楽しみで終わりが悲しくて寂しくて明日からどうしましょう。これからも楽しみにしてます。 (2021年4月17日 16時) (レス) id: 6da43e11fb (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん(プロフ) - 更新を楽しみにしてました。これからも楽しみにしてます。 (2021年4月17日 14時) (レス) id: eb9a4761a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：orange | 作成日時：2021年4月8日 19時
