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「そう…覚えているじゃないですか。彼は僕の本当の弟です。僕が、僕の家族が愛して、大切にしている弟です。」
「ふん！私には関係のないことだ。」
「…。さっきの人…あなたに父親を奪われました。」
「父親？さぁ…知らんな。」
「そんなはずはありません。あなたは何もかも逐一覚えているはずです。自分が得ることのできなかった幸せを得た人たちのこと。本当に羨ましかったでしょ？」
「なにを…」
「心がねじれるくらい羨ましかった。妬んで妬んで、それでも足りない。」
「私が人のことを羨むなんてことはない。」
「家族で微笑む幸せを手に入れたくて、でも出来なくて、あなたは苦しんだ。」
「苦しむことなんてない。」
「でも苦しむ自分を認められない。寂しくて孤独な自分も。」
「…」
「あなたは母さんが人のものになった時に受け止められなかった。その自分を認めなかったばっかりに、あなたは今誰よりも孤独です。」
「…」
じっと黙って一点を見つめてる。届いてるんかな。まだ逃げようとしてんのかな…
「紗也が…」
「はい。」
「紗也が…無邪気に報告しに来た。付き合うことになったと…」
「はい。」
「あの幸せそうな……、俺に…俺だけに向けられるはずのあの笑顔…俺は…」
「大学をやめてどうされたんですか…？」
「…金が必要だ。紗也が戻ってきたときのために…。金を集めて…彼女のために全てを準備しなくては…。とにかく…色んな手を使って…何でも…しかし…」
苦しそうな顔…ただ自分の甘えを許してきた人の情けない顔…
「隆平！お前、あいつは誰だ！」
「あいつ？」
「今来た男だ！」
急に怒ったように詰め寄られる。
「彼は僕のパートナーです。あなたもご存じのはずでしょう？僕には一生を共にするパートナーがいます。」
「知らない！そんな奴、殺してやる！苦しめて…どん底まで追いつめてやる。」
「なら僕も彼と運命を共にします。」
「なに？」
「愛しているので。彼と共にあります。」
「バカなことを…」
「当たり前のことです。僕は彼を愛しています。彼がどんな運命を辿ってもついていきます。」
「…やめろ。」
「…」
「その瞳で私を見るな。」
「…母と同じ瞳をしていますか？」
「黙れ。」
「逃がしません。あなたの記憶にあるすべて、全部聞きます。覚えていますよね。すべて。自分が何をしたのか。」
「俺が何をしたって言うんだ！何もしていない！俺は…ただ…紗也が…」
「母はあなたを許しません。」
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orange(プロフ) - あーちゃんさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて本当にうれしいです。またよろしくお願いします。 (2021年4月17日 20時) (
レス) id: 7529fcda00 (このIDを非表示/違反報告)
orange(プロフ) - kkoyanagiさん» コメントありがとうございます。楽しんでいただけてよかった！丁寧な感想にうれしくなりました。またよろしくお願いします。 (2021年4月17日 20時) (レス) id: 7529fcda00 (このIDを非表示/違反報告)
kkoyanagi(プロフ) - ありがとうございました。そしてお疲れ様でした。強火の倉丸担なので更新が楽しみで楽しみで終わりが悲しくて寂しくて明日からどうしましょう。これからも楽しみにしてます。 (2021年4月17日 16時) (レス) id: 6da43e11fb (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん(プロフ) - 更新を楽しみにしてました。これからも楽しみにしてます。 (2021年4月17日 14時) (レス) id: eb9a4761a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：orange | 作成日時：2021年4月8日 19時
