311 橙サイド ページ11
橙サイド
母さんを殺したって…簡単に犯人は自供した。それがどんなことか、この人はわかっているんやろうか。人の命をなんやと思ってんねん。
「隆平。」
頭の中で犯人の声がこだまする。見つめられてる。心を鷲掴みにされるような感覚。あれ…体が…。
「私の隆平。」
何度も繰り返される。えっ…なに…？体が撫でられるような感覚。いや…やめて…
「ｸﾞｯ…」
「隆平。お前はどんな風に感じてくれるんだろう。ほら、私の手にすべて委ねて…。」
頭の中に直接響いてくる低く、落ち着いた声。体も表情も全然動いてない自覚がある。でも…体中をさわられ、口付けられているような感覚。気持ち悪い。やめて。やめてっ！あかんっ！
「男だということを感じないな、隆平は。なんて心地のいい肌なんだ。」
「やめて…っ…」
「はぁ…感じてくれないのかい？私がさわっているのに、もっと正直に反応してくれていいんだよ。はぁ。最高だよ。」
「助けて…助けてっ…」
(ﾊﾟｼﾝｯ！！)
「ﾊｯ！」
「隆平！！」
「え？」
「隆平！！」
「あ…忠義…」
「お前！！おい！お前！離れろ！私の隆平にさわるな！」
「隆平。大丈夫？」
「う…うん…僕…」
「めっちゃ大声で呼んでのに反応がないから、ごめんやけど思いっきり叩いてもーた。」
「あ……痛い…」
「うん…ごめんな。」
「ううん。…ありがとう、戻ってきた。」
「…どうする？」
「え？あ…刑事さん！すみません、大丈夫です！連れていかないでください！」
「おい！離れろ！お前！」
「忠義、ありがとう。大丈夫。」
「ここにおらせて。こんな所に隆平１人で置いとかれへん。」
「大丈夫。隣に居てくれるんやろ？今も助けてくれたやん。一緒にいたら同じようになってたかもしれへんで。もう終わるから。」
「…でも…」
「大丈夫。忠義がいるから大丈夫。」
「…わかった。」
手をぎゅっと握ってくれる忠義。しっかり握り返したら心配そうにしながら部屋を出ていった。大丈夫。隣にいてくれる。さぁ…油断したらあかんわ。
「なんなんだ、あいつは！ここには私と隆平の２人だ！！」
「座ってください。」
「ﾊｧﾊｧ…まったく…」
「ご存じありませんか？さっきの人。」
「知るか。俺が記憶に残しているのはお前と紗也しかいない。」
「あなたには息子もいるんですよ。」
「私の息子ではないと言われたよ。自分には本当に父と呼びたい人がいるとね。くだらない。私には必要ない。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 83人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
orange(プロフ) - あーちゃんさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて本当にうれしいです。またよろしくお願いします。 (2021年4月17日 20時) (
レス) id: 7529fcda00 (このIDを非表示/違反報告)
orange(プロフ) - kkoyanagiさん» コメントありがとうございます。楽しんでいただけてよかった！丁寧な感想にうれしくなりました。またよろしくお願いします。 (2021年4月17日 20時) (レス) id: 7529fcda00 (このIDを非表示/違反報告)
kkoyanagi(プロフ) - ありがとうございました。そしてお疲れ様でした。強火の倉丸担なので更新が楽しみで楽しみで終わりが悲しくて寂しくて明日からどうしましょう。これからも楽しみにしてます。 (2021年4月17日 16時) (レス) id: 6da43e11fb (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん(プロフ) - 更新を楽しみにしてました。これからも楽しみにしてます。 (2021年4月17日 14時) (レス) id: eb9a4761a3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：orange | 作成日時：2021年4月8日 19時
