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黒サイド
「横山さん、俺、2週間持つかわかりませんよ。」
「はぁあ？」
「はぁー…。」
大倉と初めての仕事。こいつ公私混同しとる。でも、マルのことほんまに大切に思ってくれてるんやなって思ったら、なんや想像以上にうれしい気持ちになる。やっぱりマルって俺にとったら弟か息子みたいな感覚があんねんな。
「ため息つくなや！これから勝負やねんぞ、お前のブランド。」
「わかってます…はぁ…」
どっくんが言ってた通りや。マルのことになったら融通きかへんって。
「あの、横山さん。」
「なんや？」
「横山さんは村上さんとこんなに離れて平気なんすか？」
「は？」
「２週間もパートナーと離れて平気ですか？」
「いや、平気ではないけど、仕事やしなぁ。」
「仕事…」
「やっぱり割りきらないとあかんとこはあるやろ？」
「ん〜…」
「そりゃ、一緒に居れたらいいけど、おったらおったで刺激も失くなるし、たまにはええんちゃうかなと思うなぁ。」
「刺激…」
「マンネリになるやんか。」
「…ならへん。」
「は？」
「マンネリになんかならへんねんなぁ。いつも毎日新鮮なんです。」
「あっそ。」
「あー！呆れた！酷い！」
「うるさいねん！呆れるに決まってるやろ！」
「はぁ…隆平〜」
「おい、とりあえず今日の営業先の話するぞ。」
「はーぃ…」
でも、いざ仕事の話になるとめちゃくちゃ呑み込みが速い。社長とマルの期待度が高いのがよく分かる。マルのアイデアがプラスされることで、大倉の商品たちはさらによくなったしな。
「前も言ってた通り、俺、オフィスで着れる、上品だけど肩の凝らないデザインで勝負していきたい。」
コンセプトも明確になったわ。とりあえず大阪支社に到着して、そこからは各企業にまわっていく。見た目も愛想もええからめっちゃ好感触やわ。
「お前、大阪歩いとったら知り合いに会うんちゃうか？」
「どうかな…。」
「マルが紹介してくれた定食屋でも行くか。お前、縁があるんやろ？」
「あ、はい！それと…できれば墓参りに時間ください。」
「そんなん、全然ええよ。好きなだけ行ってこい。」
「横山さんて優しいんですね。ありがとうございます。」
「なっ…」
「わっ！真っ赤や。これは村上さんの大好物そう！」
「からかうなや！」
「すみません。」
「まぁ、ええわ。ほなもう１件行ってから飯な。」
「はい。よろしくお願いします。」
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作者名：orange | 作成日時：2021年3月26日 22時
