想 6 (ページ40)

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橙サイド

晴れやかになった心。昨日のものすごいプレッシャーも立ち向かおうという気になれて、何より忠義がいてくれるなら頑張ろうって思えた。

「隆平、あれ食べたい！」

無邪気やなぁ…。忠義ってほんまに不思議。めちゃくちゃ男前で色っぽいし、でも、笑顔はくしゃくしゃでめっちゃ可愛くて、優しくて、強くて、厳しくて、センスがあって…

「隆平？」

「ﾊｯ…え？」

「なに？なんで赤なってんの？」

「…何もないし。」

「え？なんか怒ってんの？」

「怒ってない！」

「へ？なに？なになに？」

「…」

「え？」

「もう！かっこよすぎて困ってんの！」

「は？何のこと？」

「いいねん！さ、行こ！」

隣にこんな男前を連れてるなんて、ちょっと優越感。周りの人が忠義を見て一瞬立ち止まってしまう姿や、どこの俳優？みたいな話をしだす人もいたり、男の人でも二度見して振り返る時がある。あかん。モヤモヤしてきた。忠義は僕のやし！でも…。

「隆平、こっちおいで。」

「…うん。」

人混みにもたついた僕を引き寄せてくれる忠義。モヤモヤなんて一瞬でなくなった。人がいなかったらなぁ。忠義の長い腕に抱かれて、僕より少し背の高い忠義を見上げながら、くっついて歩くのに。

「忠義…」

「ん？」

「好き。」

「んん？」

「ふふっ。」

「なんやねん、いきなり！」

「だって、ほんまにそうやもん。」

「もう……」

「なに？」

「我慢出来んくなる。」

「…僕はもう我慢出来ひん。」

驚いた顔で見つめ返す忠義に、変なこと言うてもーたって、全身の体温が一気に上がる。

「あ…ごめ…」

「じゃあ、今すぐ旅館まで連れてっていい？」

「え…」

「ふふっ。早く！」

車に乗ったら我慢出来なくて少しキスを交わす。見つめあって笑顔になって。キスの余韻が体の奥を痺れさせる。ついそばにある忠義の手を握って助けを求める。

「もう少し待ってな。」

はぁ…。忠義には何でもお見通しなんやろうか。旅館に着いて、部屋に案内される。お茶を出してくれながら、なんかやたらと丁寧な説明してくれるんやけど、早く二人っきりになりたくてウズウズしてくる。

「こんな立派な部屋が空いてるなんて思ってなかったから、俺らもびっくりしてて。ゆっくりさせてもらいますわ。」

なんか…忠義…余裕やわ。僕だけなん？こんなにイライラしてんの。

「ではお食事まで2時間ほどございますので、露天風呂などお楽しみください。」

「そうさせてもらいます。」