想 6 (ページ36)

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緑サイド

ヤスと亮ちゃんと打ち合わせをしていると、隆平からの差し入れが届く。

「うまっ！何これ！」

「俺、甘いのあかんし。」

「大倉ぁ！拗ねてんと食べてみろ。マルはこういうのが普通に食べられる世界におるんやって分かっとけ。」

「ん～…でもぉ…」

「余計なこと考えるな。マルは俺たちを信じてくれてるんやから。」

「そうや。食べてこの味を普通にしていかな。」

「そやな…。え…うまっ！」

「(笑)頑張るで、大倉！」

２人に励まされて、でも何となくモヤモヤしつつ家に帰る。晩飯の準備をしていると隆平が帰ってきた…。ん？なんか落ち込んでる…？

「忠義、デートしたい。」

「毎週してるやん。どうしたん？」

隆平を玄関に迎えに行くと、ぎゅっと抱きついて離れない。

「ん～？なんかあった？」

腕の中で首を横に振る隆平。俺の方が色々落ち込んでるつもりやってんけど、こんなにぎゅってされたら、そんなん吹き飛んだわ。

「ん～…たぁ。」

さらに抱きついてくる隆平。えー？なにこれ。とにかく靴を脱がせてリビングへ。

「たぁ～」

ソファに座って上に跨がらせたら、今度は抱きついて首筋にすりすりしてくる。

「僕…頑張れるんかな…」

「え…」

「周りがすごすぎて…怖い…」

「大野さん？」

「ん。パティシエの松本さんも。言うたらしぶやんも。」

「やっぱすごいんや。」

「うん、すごい。圧倒されて…ずっと忠義のことを想ってた。」

「え？」

「忠義を想って心の支えにしとかないと、圧倒されて潰されそうやった。」

「隆平…」

そうやんな。隆平だって普通の人やもん。緊張もするし、落ち込むことだってあるわな。背中をポンポンとして、頭をゆっくり包んでやる。

「隆平の支えになれたんなら、めっちゃうれしいわ。」

隆平はちゃんと俺のこと必要としてくれてる。俺がブレたらあかんわ。ちゃんと支えていこう。

「ほんならさ、車で出かけて、どっかで泊まって来よか？」

「え…うん！！」

「行きたいとこある？」

「ん～箱根神社とか？パワースポットで力もらう。」

「ん。じゃあ、調べてみよ。」

朝早く出たら、駐車場にも停めれるかな。泊まるとこは…

「忠義、ここがいい。」

隆平が探したのは、コテージみたいになってる旅館。お風呂も入り放題で、二人きりでおれる。

「いいやん！」

「うん。そこにしよ。でも空いてる？」

「これやろ？空きってなってんで。よし、じゃあ明日早いし、準備するで！」

「うん！」