想 6 (ページ11)

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紫サイド

「ｳｯ…ｳｳｯ…」

「マル？マル！どうした？しんどいんか？」

「ｳｳｯ…信ちゃん…怖い…」

ベッドに横になってしばらくすると聞こえてくる泣き声。仕事もあと3日。なんとか頑張ってほしいんやけど…

「マル…。ほら、こっち来てみ。」

体を起こしてグッと抱きしめてやる。めちゃくちゃ震えてるやんか。

「大丈夫や。なんも怖いことあらへん。」

「でも…忠義…いてない…ｳｳｯ…」

「あいつは今仕事やろ？」

「うそっ！だって睡眠薬で眠らせたって言ってたやん！！」

「それこそ嘘や。犯人、嘘ついてたやろ？思い出してみ。」

「犯人…犯人が…取り調べ中やのに…」

「マル…落ち着いて。俺のこと分かるか？」

「ｳｳｯ…信ちゃん…怖い…」

「大丈夫。どうしてほしい？」

「どこにも…行かんといて…」

「ん。こうしてるから。」

「ｳｳｯ…忠義…忠義…」

「マル。よしよし。」

体を震わせて必死に戦ってるマル。背中をゆっくり撫でて、包み込んで、しばらくするとスッと力が抜けてくる。

「マル？」

腕の中をのぞくと、気を失ったように眠ってる。

「はぁ…大丈夫やろか…？」

そっと横たえて、眠っているのを確認する。

「ゆっくり休みや。」

キミには逐一報告。でも、マルが頑張りたいという気持ちを尊重して大倉には伝えない。翌朝どうなるかと思ったけど、いつも通り、時間には目を覚ました。

「おはよう。いけるか？」

「うん…。ごめんな。」

「マル…謝るな。大倉にこっちに来てもらうか？」

「ううん。大丈夫。」

「ほんまか？」

「ん。これからこんなこと多くなるもん。頑張らな。慣れないとあかんねん。」

「でも、俺がおらんかったら昨日だってどうなってたか…」

「うん…。薬とか考えなあかんのかもな。仕事に影響出たら困るし。」

「マル、そんなに頑張る必要ない。」

「そういうわけにもいかんよ。こんだけ大きな会社やもん。みんなが幸せになるために考えることがいっぱいや。」

「次期社長に展望があるのはすごくうれしいことやけど、無理して倒れられたらそれこそ困る。」

「うん…」

「はぁ…ほんまにお前は…。もうええ。何でも支えたるからやりたいようにやれ。でも、無理やと思ったら全力で止めるし、お前の言うこと聞かんからな。」

「うん…信ちゃん、ありがとう。」

「ほんまに。小さい頃から手のかかる奴や。」

「ふふっ。お世話になります。」

「まったく…。ほな今日も行くで！」

「は～い。」