想 5 (ページ45)

今日:6 hit、昨日:0 hit、合計:21,988 hit

245 ページ45

広いパーティー会場にたくさんの人。これだけの人を抱えた大きな会社。重役だけでこの数やもんな。

「先ほど、有能なデザイナーの揃った会社との合併が成立いたしました。みなさまには…」

その最初に話をする隆平。いつもの柔らかさだけじゃなく、上に立つ人独特の存在感も携えて、舞台の上で堂々と話をしている。

「では、これから同じ会社の一員として共に歩んでもらう大倉さんを紹介します。」

キラキラした瞳の隆平。舞台の上に誘ってくれるんやけど…。あかん、めっちゃ緊張してるわ。

「大倉さん、一言お願いできますか？」

舞台に上がると、そんな俺に気づいたのか、じっと優しく瞳の奥を見つめてくれる隆平。不思議とすっと落ち着く自分がいた。

「はじめまして、大倉忠義と申します。これまでは…」

何をしゃべったかよー覚えてないけど、とりあえず会場のみなさんに拍手をもらって舞台を降りる。

「大倉、よーやったな。」

「怖かったぁ…」

「いや、エエこと言ってたで。」

「ほんまぁ？」

「うん。大丈夫や。」

ヤスと亮ちゃんに声をかけてもらって、ほっとする。そのまま続きで役職や配属なんかも発表されて、とりあえず終了。

「大倉さん、こちらに…」

豪華な立食パーティー。隆平に連れられて色んな人に挨拶をする。

「大倉さんのブランド、注目してたんですよ。」

「え！」

「最近のブランドでは、一番気になってました。」

「ありがとうございます。」

「同じ会社であり、ライバルでもありますから、切磋琢磨していきましょう。」

「はい。よろしくお願いします。」

紹介してくれる人みんなが、なんというか貫禄があるし、それぞれが確固たるものを持って仕事をしていることが感じられた。

「大倉、なんかやる気出るな。」

「うん。」

きっと社長や隆平の会社での在り方がいいんやろうな。そんな2人のことを本当に誇らしく思うし、自分もそういう人間でありたいと思えた。

「みなさん、今日はお集まりいただき、ありがとうございました。」

最後に社長からの挨拶。騒がしかった会場は、社長が舞台に上がった瞬間に静かになる。

「みなさんには、私の個人的なことで、これまで迷惑をかけ、不安な思いもさせて来てしまった部分があり、申し訳なく思っておりました。」

すごい。ちゃんと話するんや…。ざわつく会場。そりゃそうや。こんなことおそらく普通はわざわざ言わへんて。