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今日はしぶやんと珍しく二人っきりの昼食。午後の会議まで時間もあるし、2人で半個室のあるお店にランチに来た。
「ええ店やな。」
色んなこと掛け持ちしてるのに、相変わらずこの会社にいてくれるしぶやん。この人が居なかったらと思うと恐ろしい。
「いよいよ合併やな。」
「合併はしぶやんのおかげです。」
「お前の実力やで。」
「もー!なんなん!!男前なこと言うのやめてくれる?」
「おっ!やっと俺んとこ来る気になったか?」
「ちゃうし…。しぶやんはさぁ、なんでそんなに優しいの?僕に限らず、ほんまにたくさんの人に優しさをくれるやん。」
「そうかなぁ?」
「うん。なんで?」
「ん〜…なんか俺、困ってる奴によー会うねんなぁ。困ってて…魅力的な奴っていうのか…」
「困ってて魅力的?」
「おん。例えば、今の世ではマイノリティと言われる人とか…すごく酷い環境やのに笑顔で頑張ってたり…」
「ああ…」
「実力あんのにとんでもないことに巻き込まれてて、自分ではどうしようもなかったり…とか。世界中色んな人に会ってきた。」
「しぶやん、まだ若いのにすごいな。」
「すごくはない。ただ、人が好きやなぁとは思う。そいつのためになんか動きたいって思うことがこれまでも今もあるっていうんかな…」
「人が好き…かぁ…」
「大倉も…お前の親父もそう。こんなに一族に肩入れすんのは初めてやけど。あ、亜希はたまたま可愛かったから声かけてもーた。」
「は?」
「ははは。自分でもめっちゃ驚いたわ。まさか大倉の妹やなんて。すごない?運命感じるやろ?」
「うん。ほんまに。」
「そう、なんか引き寄せられんねん。次はこっちやでって感じで。」
「すごいな。」
「うん。そういう…なんやろ。俺に与えられた仕事なんかなって思ってる。お前との出会いもそう。」
「え?」
「全然覚えてへんか?」
「ん?」
「俺、親父と一緒に日本に居たときに、一応大阪に住んでたけど、あちこち連れられて日本中をまわってた。」
「うん。父さんと会ったのもその時なんやんな?」
「そう。親父と社長は古い付き合いやな。俺も小さかったからあんまり知らんけど、よう訪ねて行っとったみたいやで。」
「へぇ。」
「それから香港に行くってなって、その報告に会いに行った時、俺、お前と会ってんねん。」
「え!?」
「めっちゃきれいな瞳をしてた。ドキッとして全身が震えたのをなんとなく体が覚えてる。」
「え…」
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作者名:orange | 作成日時:2021年3月14日 20時