想 5

215 ページ15

「忠義くん…素敵な人に出会ったんやね。」

「はい。」

「由貴ちゃん喜んでやるわ。彼女、忠義くんがきちんと恋愛できるか、めっちゃ心配しとったから。」

「そんなことを母さんから言われたことあります。」

「由貴ちゃんはもう、拓哉さんのことが好きで好きで仕方なくて、猛烈アタックして振り向いてもらったらしいよ。」

「へぇ！」

「でもね、拓哉さんも由貴ちゃんのこと学生時代からずっと狙ってたらしい。」

「わぁ！素敵！！」

「まさかあんなに可愛い子が自分のこと好きになってくれるなんて思わんかったらしいよ。」

「なんか…自分の親の恋愛聞くの、変な感じするわ。」

「でも素敵やんかぁ！」

「そうやろ？すごく愛し合ってたんやから。だから、忠義くんもちゃんと人を愛することが出来たし、それを貫くことが出来る。」

「弥生さん…」

「不安になることなんか１つもないよ。」

「ありがとうございます。父さんを支えてくれた人が弥生さんでよかった。」

「わ！うれしい！」

重たかった空気が弥生さんのおかげで軽く、明るくなる。

「お墓参りもしてあげて。由貴ちゃんも一緒におれたらいいね。」

「はい。母さんと父さんを一緒にするのが嫌で、今東京にお墓があるから、相談して一緒にしてみます。俺のわがままで寂しい思いをさせてしまってたから…」

「うん、それがいいわ。由貴ちゃん喜ぶわ。」

「はい。」

「それと、亜希のこと、よろしくお願いします！」

「あ…忠義に兄妹できた…。」

「う、うん。」

「この世にたった一人、血の繋がった人や…」

「いや、なんか色々辿ればもっとおるんちゃうんかな…」

「すごい！！」

「いや、隆平、聞いてる？」

「亜希ちゃん！忠義のことよろしくね！」

「はっ、はい！」

「あ、それと、駿佑のこと、考えててね。」

「いや、あの…」

「隆平、亜紀ちゃんて婚約者が…」

「一応やんか。何があるか分からんし！」

「失礼や！」

「あ！亜希ちゃん、これから忠義のことはちゃんとお兄ちゃんって呼んであげてね！」

「お、お兄ちゃん。」

「いいなぁ！羨ましいなぁ！忠義は亜希ちゃんじゃなくて呼び捨てでもいい？」

「それは何でも…」

「隆平！ストップ！勝手に盛り上がらないの！」

「だって！うれしいんやもん！」

「ｳｯ…」

「マルちゃんかわいらしいなぁ。さ、もういい時間やし、あんたら、串カツ食べに行こう！うちの店、年末の夜は休みにしてるから。」

「え、やった！行くー！！」

216→←214

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す